昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

森薫『乙嫁語り』

乙嫁語り(08~)は
19世紀後半の中央アジアを舞台に、美しい花嫁
(=乙嫁)たちの日常や恋模様を描いた
作品です。

エスニックな刺繍や食べ物・小物・背景などを
作者が心から楽しんで描いているのが伝わって
ほっこりします。

一番登場回数が多いのは少年婿のカルルクと
年上の嫁アミルのおねショタ夫婦ですが

イギリス人のスミスさんがあちこちを旅し、
人々の話を記録していく物語でもあるため
視点や場所は1巻ごとに変わります。

パンを作ったり、狩りに出たり、何気ない
日常回があったかと思えば

アミルの実家が、一度嫁に出したアミルを
よその部族に与えるために連れ戻そうとし、
街中での抗争になったりもします。

アミルの友人、パン作りは巧いが性格は
不器用なパリヤさんが悩みつつも婚約者と
うまくいきそうな流れだったり。

(がんばれパリヤさん!って応援したくなります)

4巻のみ登場の元気いっぱいの双子の乙嫁
ライラとレイリ&幼馴染のサームとサーミ
兄弟婿の婚約に至るまでや結婚式。

7巻のみ登場の富豪の嫁アニスと姉妹妻
シーリーンの百合カップル、

唯一アンハッピーだった薄幸の乙嫁
タラスさんが再びスミスさんと再会したりと
話はどこへ行くかわかりません。

基本的にはほのぼのやハッピーエンドが
多いお話ですが

決して楽園ではなく、過酷な寒さや
シビアな環境なども描かれます。

この時代、ロシアが南下への野心を見せていたりと
平穏な日常がいつまで続くかわからないという
危ういフラグも出ています。

しかしこの作者が悲劇ENDはないでしょうし、

超絶画力による繊細かつ美麗な絵で
中央アジア世界を存分に楽しめる
作品だと思います。

個人的に、スミスさんにエイホン家の人々が
見せてくれた、一族に代々伝わる
刺繍のエピソードが好きです。

物言わぬ女性たちが生きた証であり、
これからも一族の大事な生活の
一部として大事にされていくのだと思うと
ちょっと泣けました。

(パリヤさんの布支度の時にも出てきますね)

 

乙嫁語り 1巻 (HARTA COMIX)

乙嫁語り 1巻 (HARTA COMIX)