家重の後は家治が十代将軍に
なります。
家治(いえはる)自体は
あまり有名ではありませんが
老中の田沼意次(たぬま おきつぐ)
は時代劇でもお馴染みですね。
一般的なイメージは長い間、
「賄賂で私腹を肥やすだけの
悪徳権力者」
でしたが
近年「様々な改革に取り組んだ
清濁併せ呑む大物」に
変化します。
例:池波正太郎「剣客商売」
主人公の息子の嫁が
田沼意次の娘。田沼本人も
頼れる大物として描かれます。
本編もこちら側。
家治・意次とも女性で
温和な人格者。
しかし家治は祖母にあたる
徳川吉宗からは危なっかしいと
心配されていました。
(重要な伏線)
他の章は将軍や側室周辺の
愛憎劇や忠誠がメインでしたが
今回は話の根幹である
赤面疱瘡撲滅への
取り組みが開始されます。
家治編の主役はそのために
選ばれた二人。
女の平賀源内と、オランダ語の
通訳として長崎で働いていた
日蘭ハーフの青年「青沼」
源内はこの当時、女性が蘭学を
学ぶことは禁じられていたため
男装して忍び込むような人。
結局バレはしたものの、
ぱっと見は優男で通るような
中性的な容姿の持ち主。
「口から先に生まれた」と
自分で言う程おしゃべりで
明朗快活な人です。
口も回るが頭もよく
回る人で、好奇心旺盛。
行動力もあるアイデアマン。
その辺が史実の印象の
平賀源内っぽい。
そんな源内がモテないはずは
なく、特大の災いを招くことに……。
青沼の母は長崎の女郎。
出自もそうですが、青い目で
顔立ちも西洋人にしか見えない
ため、周囲の扱いは……。
不幸な育ちだったこともあり
能天気な源内の言動には
悩まされましたが、
次第にかけがえのない
存在になっていきます。
男女の愛ではなくて
共に戦う戦友という感じがいい。
そんな二人に感化されて
変っていく人も出てきます。
明るく始まった家治編でしたが
最後までその雰囲気が続く
はずもなく、
読者はあまりの理不尽に
あるキャラと共に涙ながらに
慟哭することになります。
あんまりだよ……!!
詳細はあえて書きません。
ぜひ読んでほしい!!