昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

よしながふみ『大奥』その8(吉宗編)

七代将軍家継の逝去に伴い、
吉宗が八代将軍に。

本作1巻の時代に話が
戻るので、キャラも再登場。

杉下さん、藤波さんお久しぶり……。

水野も嫁さんと幸せそうで
嬉しい限り。

この物語では将軍の腹心の
有能さで、大分明暗が分かれます。

それを思うと加納久通
(かのう ひさみち)を
幼馴染みとして得ていた吉宗は
なんと幸運だったのか。

吉宗は恋愛エピソードがない
代わりに、久通と共に政治に
取り組む話が多いですね。

跡取りの出産の最中にも
大岡越前と政策の話をしてるのは
ワーカホリックじゃないかな……。

久道が吉宗の紀州家藩主相続、
将軍職への道を暗殺で切り拓いて
来たと知った時の反応が素晴らしい。

詳細はあえて書きません、
ぜひ読んでほしい!!

また、十代家重には重い障害が
ある設定をよくこのご時世に
使ったと思います。

体にハンデがあるからといって
心は優しいなんて決して美化せず

「普通の人間らしく」八つ当たりも
意地悪もしますし、
恥ずかしくて泣いたりもします。

頭脳は優れているというのを
吉宗を負かす将棋の上手さや、

うまく回らない口で必死に漢詩
そらんじて示すシーンは
胸に来るものがあります。

あれは「そなたが次の将軍じゃ」って
言いたくもなりますね。

親子愛の美しいシーンの後に
「無能な将軍としてその
一生を終えた」の
ノローグの落差がまた
強烈に響きます。

6代~9代の辺りは
そこまでドラマティックな
展開はありませんが、
しみじみとした味わいがあります。

家重の側室・お幸の方が
刃傷沙汰を起こした後に
座敷牢で食事をしなくなり、

なんとか食べさせるよう
料理人・善次郎が頑張る
エピソードは

飢え死にも構わないと
いうほどの強い決意が

故郷の味(匂い)を前に
吹き飛んでしまうという
人間の業の深さと共に、

優しい性格だからこそ
こんな不幸を招いたという
皮肉な話にもなっていて
なんか時代小説っぽい。

あとウナギ食べたくなりました。

食にまつわる話作りの巧さは
きのう何食べた?
『西洋骨董菓子店』などにも
共通ですね。

 続きはまたそのうちに。

大奥 7 (ジェッツコミックス)

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