※今回は18巻のネタバレがあります。
未読の方はご注意ください。
家茂編では家茂や大奥側の人々が
人格者なので、和宮の成長と変化が
物語のメインと言えます。
17巻末では病弱な家茂が幕府の
体面のためだけに上京させられたのを
心配するあまり、
「私が懐妊すれば、上さんは
戻ってくるのでは?」
という斜め上の発想を
天璋院と瀧山にぶちまける
ところで終わりました。
「お二人は義理の親子ですからね!」と
釘を刺した瀧山を、同時に
怒鳴りつけるのが笑いどころ。
幸い、夜伽の白羽の矢が立った
黒木が和宮を諌めてくれました。
中澤さんが「私でもよかったのに」と
言ったのが意外……。
和宮の暴走は「自分を犠牲にする
こと」が前提なので本人が真剣で
あるほど切ないのですが、
それに振り回される大奥メンバーの
様子がコミカルに描かれているので
ちょっとした和みが生まれていました。
和宮登場時を思うと、仲良くなったものです。
一方、上京した家茂は帝への釈明に追われ、
幕府の無力さ、薩長の動向に振りまわされ
体も病に蝕まれていきます。
状況の説明は家茂と勝海舟の
会話で読者に伝えられます。
慶喜がどんどん嫌いになっていく……。
『銀魂』のノブノブも大概嫌な
奴でしたね。
そして遂に、家茂の死の報せが
大奥に届きます。
作中でも死亡フラグは着々と
重ねられていたのに、
誰かが嘆くたびに涙がこぼれる……。
抜け殻のようになっていた和宮が
戻ってきた能登さんの報告を聞いてはじめて
泣くシーンが今巻のクライマックス。
叶う事のなかった、京土産の
着物姿で二人で笑い合うイメージが
哀しい……。
将軍の没後、大奥も本来なら
代替わりするのですが
慶喜が京に居続けていること、
和宮と天璋院を引越しさせる
予算がないなどで据え置きに。
しかしいずれ慶喜に縮小・
解体されるのはわかってるので
瀧山は彼らの将来を考え、
大規模リストラを……。
大奥にも江戸時代にも
終わりが見えてきましたね……。