昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

河惣益巳『蜻蛉(せいれい)』

『蜻蛉』(せいれい 15~)
中華風の帝国「虯」(キュウ)を
舞台にしたファンタジー作品です。

不思議な力を持つ主人公・
弥夜姫は宮廷の陰謀に巻き込まれ、
父は捕えられ、弥夜姫は皇太子の
後宮に入れられてしまう……。

弥夜(みや)姫は日本っぽい
「尚和国」の出身。

人には見えないものが見える
巫女タイプの姫君ですが
お転婆で型破りで、何をしでかすか
わからないところがあります。

10年に一度、友好国の王族が
虯国皇帝のもとに集まる会談が
行われるため、

弥夜姫は父の王太子と兄の日弥と
共に帝都に来ていました。

 そこで皇太子に見初められ、
「許嫁がいるから」と断るも

おっとりした皇太子は周りの追従を
信じて、焦らしてると勘違い。

帰国を急ぐ弥夜姫たち一行は
途中で軍隊に襲われ、
兄は殺害、父も弥夜も別々に
連れ去られてしまいます。

拉致されたのは弥夜だけでなく、
他の姫君たちもでした。

実は皇帝の側近で、自分の娘を
皇太子の妃にしたい
安寧国(アンニョンこく)の
王太子の策謀によるもの。

「一人だけ選ぶと他の国との
友好に障る」と、会談の場に
いた姫全員を後宮に入れるよう
皇帝を唆したのが原因でした。

この安寧国出身のキャラが
様々な場面で悪役となって
物語を動かしていきます。

娘の梨花(イファ)姫は
悪女ではないのですが、

他の価値観を受け入れず、
空気が読めずに独善的……と
嫌われ役にまわりがち。

 コミックス5巻では遂に
「海で波に攫われ、溺死」を装い

弥夜姫とミャオヤ族のクーラン姫、
ハリム国のアマーラ姫との
逃走の旅が始まります。

「虯」は唐がモデルなのか国際色
豊かで、様々な人種のキャラが
登場します。

クーラン姫は遊牧民の出身で
馬が大好き、
アマーラ姫の国は戒律が厳しく、
イスラムっぽい感じです。

亡国の元王子、アルデシールは
金髪碧眼でペルシャっぽい。

 過去、様々な国と時代の西洋史
和風・中華ファンタジーを描いてきた
華やかでスケールの大きい
河惣作品ならではの

引き出しの多彩さ、引きの強さが
素晴らしい……。

蜻蛉 1 (花とゆめコミックス)

蜻蛉 1 (花とゆめコミックス)