スーパー未亡人・蘭子さんで思い出しましたが
昭和の頃は大人を負かすスーパースペック
主人公がいたものです。
佐伯かよの『燁姫』(あきひ 84年~)
学校では地味な三つ編みメガネの女子高生が
実は銀座の画廊の有名美人オーナーというお話。
新谷かおる『クレオパトラD.C』(86~)
14歳の天才少女がアメリカのコングロマリットの
総帥に就任する話です。
石垣ゆうき『100万$(ドル)キッド』(86~)
財閥の三男坊、14歳の二階堂ひろしが父親から
「一億渡すから一番増やした奴を跡継ぎにする」
と言われて、それを資金にカジノへ乗り込み
大人のギャンブラーを次々に打ち負かします。
『ミラクルジャイアンツ 童夢くん』(89~)は
小学生のプロ野球選手のお話。
体力差を埋めるために童夢(どうむ)くんは
トンデモ魔球「スノーミラージュボール」や
「レインボースパークボール」などが必要でした。
『ミスター味っ子』(86~)も
中学生の天才料理人たちが世界レベルの
優秀なシェフと競って勝つ話で
この頃はまだ「大人をやりこめる=愉快痛快」
という図式を読者が共通の感覚として持っていました。
昭和のマンガは大雑把な設定でも面白ければ許されましたし。
しかし主要キャラが大人になった『味っ子Ⅱ』で
堺一馬くんが新キャラの子供シェフたちに負けた際
「ありえないぃぃ!!!」と
自分でもだいぶ気持ち悪く動揺したので
(長年の人気キャラである一馬に思い入れが
深いのは当然としても)
大人の読者が増えた昨今「大人を負かす子供」を
優しい目で見れなくなったのかもしれません……。
また色んな情報が共有されるようになったためか
描写や設定もリアル寄りになっていて
今なおチート能力の主人公はいても
読者を納得させる理由が必ず
語られている気がします。
(ジャンプ作品だと血筋も理由の一つになる)
何より中学生プロ棋士など、現実がマンガを
越えるような話も出てきましたね。
もう十代のF1チャンプとか出ても驚かない……。