『マダム・ジョーカー』（００～）は
月光寺財閥の美しき未亡人・月光寺蘭子が
息子や娘たちと共に、困った人々との
トラブルやミステリーを解決する
コミカルで痛快なお話です。
「女性が気持ちよくなるマンガ」
と、作者が公言しているだけに
およそ日本とは思えぬゴージャスな世界に
うっとりしつつ
イケメンの義理弟（亡き夫の異母兄弟）に
口説かれたり、
わかりやすく嫌な奴が蘭子さんの言動で
仕返しされたり自滅したりと
女のロマンを満たしつつ
水戸黄門的な爽快感も得られます。
蘭子さんは働く必要もなく、子供は大学生と
中学生なので育児に追われることもない。
姑とも仲良しだし、未亡人だから若い男と
遊んでも不倫ではないという結構なご身分。
（娘の蘭奈は男遊びには時折口を出しますが、父親には
したくないというだけで遊ぶこと自体は認めている）
旧華族の血筋でも「清貧」なお家だったせいか
鼻持ちならない選民思想は持っておらず
資産家と結婚してお金持ちになっても
ブランドものを有難がることもなく
むしろそういうことにこだわる連中を
不思議そうに眺めています。
世間知らずというより浮世離れしているため
利用しようと近づいてくる連中もいますが
たまたま拾った苦労人の家出少年・嵐士（あらし）
くんが何度となく蘭子さん一家を助けてくれますし
（おっとりしたお嬢様・お坊ちゃんキャラが多い中、
ワイルド系の彼のキャラは際立ってます）
家事が苦手な蘭子さんにかわって、料理も掃除も
パーティの準備まで引き受けてくれる
高スペック家政婦にして善人の杉浦さんもいます。
個人的に同級生だった元お嬢様で、今は極貧生活な
藤原貴子さんがいいキャラだと思います。
金遣いが荒くて娘を困らせたりもしましたが
今は改心して地道に働いてるし
（娘の百合子ちゃんも可愛い子です）
蘭子さんとはボケツッコミでいいコンビ。
大人の女性を楽しくするためだけに
特化した、正しいエンタメ作品です。
本来娯楽ってこういうものだよね……
（ファフナーを観て泣きながら）
