昭和のマンガ、特に学園モノでは憧れの対象に
格調高い二つ名がついてるのがお約束です。
『聖アリス帝国』では演劇部の美人部長・変化薫が
「薫の君」と呼ばれていました。
『おにいさまへ……』でも
ボーイッシュな折原薫が「薫の君」で、
ミステリアスな朝霞れいが「サン・ジュストさま」
『やじきた学園道中記』でも
ハーディがごく一部から「風使いの君」と
呼ばれています。
初登場はホモの変態暴走族の頭だったのに、
再登場のたびに大物設定がついていく男……。
川原泉『笑う大天使(ミカエル)』でも
名門女子高、聖ミカエル学園の三年生が
「紫の上」「白薔薇の君」「桔梗の宮」
ほっこりいい人のお嬢様方です。
主人公たちにも
「コロボックルちゃん」「オスカル様」
「ケンシロウ様」という
あだ名がついています。
これも80年代後半から、特殊な設定の作品を除いては
あまり見かけなくなりました。
キューティハニーリメイク版
『キューティハニーF(フラッシュ)』(97~)では
ハニーが速水奨さんボイスの憧れの君を
「黄昏のプリンス様」と呼んでおり
懐かしい感じがしたものです。
『マリア様が見てる』(小説は98~、アニメは04)
の舞台の名門女子高、私立リリアン女学園高等部」
には姉妹(スール)制度があり
その「妹」が二年生の小笠原祥子で
「紅薔薇のつぼみ」(ロサ・キネンシス・アン・ブゥトン)
更にその「妹」の一年生(主人公)福沢裕巳は
「紅薔薇のつぼみの妹」
(ロサ・キネンシス・アンブゥトン・プティ・スール)
……ここまで来ると呪文みたいですね。
直接名前を呼ぶのではなく、あだ名をつける、
それも「~の君」とかとても日本的で
私は好きです。
今の感覚だと、呼ぶほうも呼ばれる方も
大人になった頃枕に顔をうずめて転がりそうですけど。
『キャンディ・キャンディ』の
「丘の上の王子様」もそうですね。
もうタイトルすら知らないって人も
多いかも……。