昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

青池保子『修道士ファルコ』その2

第二話では彼が暮らす
リリエンタール修道院
宝である聖遺物

「聖女カタリナの指の骨」が
盗まれます。

盗人は5年修道院にいた
同僚の修道士。

「5年の間 真面目さを装い
私達をだましていたのか!?」

「私はケルン大聖堂から
聖女を盗むために
あの寺に6年間潜入して
いたのだぞ!」

実に中世らしい
倫理観だ……。

※聖遺物目当てに信者が
やって来るので、経済的な
意味でもお宝です。

史実に基づいた俗っぽい
台詞のやり取りがあった後に

半ば呆けてる修道士
老ヤコボが不思議なことを
言い出します。

「……聖女サウラが泣いている
早く私を助けてと……」

彼の言葉を手掛かりに
ファルコと同僚のオドは
副院長の命令のもと
探索を開始。

途中で金の匂いを
嗅ぎつけた野盗たちも
乗り出してきます。

野盗に対しても剣を
使う際は

ファルコ(聖母マリア
お許しを……!)

律儀に神に祈ります。

ところが戦いの最中、
ファルコは落とさないよう
口にくわえていた遺骨を
飲み込んでしまい……。

必死なファルコの戦いぶりに

オド(何とすさまじい剣だ)

(兄弟ファルコが剣を
捨てるのも無理からぬ事だ

あの腕はよほど多くの
血を流したのだろう)

二人とも寡黙なタイプなので
ノローグで互いの印象を
解説します。

※修道士たちは「兄弟」と
互いに言い合う習わし。

ファルコから見たオドの
印象は

(がっしりした兄弟)

(俗世ではきっと騎士か
兵士だな──)

そう読者に示しておいて

オド「はけぃっ!!」(ド迫力)

1コマで彼の出自が
分かるのがすごい。

この前振りからの
遺骨を飲んだ→吐け!!の
展開も素晴らしい。

ファルコの祈りが届いたのか
骨は下剤を使うことなく
吐き出されます。

ファルコ「奇蹟だ!!
聖女サウラよ
感謝します──!!」

オド「……強度のストレスで
消化機能に異変が生じた
のだな」

二人の落差にじわじわきます。

老ヤコボが知るはずの
ないことを呟いての
不思議なオチも素晴らしい。

役人時代のオドが
主役のスピンオフ
『ケルン市警オド』
現在連載中です♪

続きはまたそのうちに。