『リエギエンダ物語』
(91~)は架空の街
リエギエンダを舞台にした
優しいファンタジー作品です。
平成の作品ですが、いい意味で
詩やメルヘンが大事にされていた
昭和の香りがします。
主人公は紅茶雑貨店
「マジカル」の若き店主、
セージ。
ハーブや紅茶だけでなく、
茶器も扱うので「雑貨」も
店名についてます。
老婆の姿になった老猫が
主人の思い出の紅茶を
探しに来店したり、
百年に一度訪れる
甘いモノ好きの星天竜の親子と
夜のお茶会&夜空のお散歩を
したり、
南風の精の少女がやって来て
木の上のツリーハウスに
住んだり、
家出少年と聞いて心配して
「冒険の旅」に同行したら
有名作家の原稿用紙から
抜け出していた
小説の主人公だったりと
メルヘンな1話完結の
エピソードが揃っています。
(セージと南風の精ナンとは
後に恋愛フラグがあります)
セージだけでなく、リエギ
エンダの住人たちは皆
不思議な出来事を受け入れて
います。
本屋の若主人デビッドは
春風の魔法で本が鳥になって
飛んで行ってしまったり、
骨董商のバジルは
手に入れたスノウボールを
追って魔女がやって来て、
中に入ってた男女の魔法を
解いて人間に戻したり、
柱時計から時間ごとに
違うお客が出て来るなど
彼らの持つアイテムから話が
転がることも多いです。
魔女や賢者や竜も出るけど、
ロボットも登場する
わりと何でもアリな世界です。
(ただしロボットの動力源は
落下した星の石)
個人的に「月光銀河」の
川下り祭りのエピソードが
好きです(第16話)
年に一度、川の流れが
月光銀河と繋がり、いつもは
行けない場所に人々を
運んでくれます。
そこは失った人や
夢と出会えるところ。
セージはその祭りの幹事役で
夫と会いたいという亡き老妻の
願いを叶えようとしますが、
夫は頑なに参加を拒みます。
実は「苦労ばかりかけていて
合わせる顔がない」と
思っていためでしたが
セージはある手段で(秘密)
紅茶片手に優しく穏やかな、
時に切ない世界を楽しみたい
人におススメです。
児童文学と紅茶好きには
特に向いてます。