昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

篠原千絵『夢の雫、黄金(きん)の鳥籠』その2

ヒュッレムや他の側室たちの
命を狙っていたのは、第一夫人の
ギュルバハル。

彼女は既に第一皇子
ムスタファを産んでいましたが

オスマン帝国の慣習では
世継ぎが確定すると、他の皇子は
殺害されてしまうので

皇帝の寵愛深いヒュッレムは
脅威だったのです。

ヒュッレムは危うく海の藻屑に
されるところをイブラヒムに救われ、
その際に一線を越えてしまいます。

ヒュッレムが命を狙われて
どう切り抜けるかというだけでなく

側近イブラヒムとの禁断の恋という
スリリングな三角関係が余計に
読者のハラハラドキドキを誘います。

また、この作品ではスレイマン
イブラヒムの関係性をBLっぽく
描いているフシがあります。

「陛下はわたしを通して
イブラヒムさまを見ている!」

とヒュッレムがモノローグするほど
レイマンのイブラヒムに対する
思い入れは強いようです。

(個人的には何故かあまりBLの
ニオイを感じないのですが……)

また、作中前半ではスレイマンの妹・
ハディージェ皇女とヴェネチア商人の
アルヴィーゼ・グリッティとの
もう一つの禁断の恋も描かれました。

アルヴィーゼがイブラヒムと親しい
友人だったことから、

ハディージェとヒュッレムも
仲良くなり、お互い協力し合います。

オスマン帝国は手柄を上げれば
外国人でも出世でき、皇女を
賜ることも可能でした。

イブラヒムもヒュッレムも
真面目で大人しい性格のため

アルヴィーゼとハディージェの
方が積極的に動いていましたが
遂に発覚してしまい……。

ハディージェとイブラヒムの結婚は
史実なので、どういう解釈になるかと
思ってたら

真面目な彼らしく、ヒュッレムに
別れを告げます。

ヒュッレムもまた、自分の子の命を
守るため、皇帝の寵愛を得続けるべく
新たな生き方を模索します。

(しかし、ヒュッレムの生んだ皇子が
時期的に皇帝かイブラヒムの子か
はっきりしないので

読者とイブラヒムはモヤモヤ
しっぱなしなのでした)

16世紀が舞台の歴史漫画は
結構多いのですが、イスラム
視点の作品は珍しいので
それも見所です。