昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

巻来巧士『メタルK』

『メタルK』(86~)は両親を
殺され、自分も火をつけられて
全てを奪われた少女・
冥神慶子(みょうじん けいこ)が
自らをサイボーグ化し、全身凶器となって
復讐を果たそうとする物語です。

※作ったのは伊郷瑠(イゴール)という
慶子の父親に恩義のある、
忠実なマッドサイエンティスト

「あなたは私の蜘蛛の巣に捕らわれた毒虫。
残るは死だけ……」

このセリフと共に美女の顔と体が
どろりと崩れ、機械の姿が出てきたり

肌が硫酸となって相手を溶かすなど
衝撃的でグロテスクな場面の連続で

規制の緩かった当時のジャンプ作品の中でも
一際異彩を放っていました。

 グロいシーンなら北斗の拳』や
ブラックエンジェルズ:』にもありますが

北斗にせよブラックエンジェルズにせよ
悪人の死によって普通の人々が救われるのが
カタルシスを生んでいました。

復讐を果たしても更なる地獄が……という
誰も救われない展開が、この作品に
独特の湿度を生んでいたのかも。

序盤、慶子の復讐相手は婚約者だった兵頭勲と
二人の共犯者たちと思われていました。

しかし彼らは「組織」(ユニオン)こと
またの名を「薔薇十字団」(ローゼンクロイツ)の
一員でしかなかったのです。

薬品会社の社長だった慶子の父親が
勲を探偵に調べさせた際に発覚、

婚約を解消される前に一家を抹殺し
会社を乗っ取ったことが明かされ、
組織そのものに戦いを挑むことになります。

勲の情人・玲花だけは組織と無関係でしたが
この人はこの人で、慶子を狙撃して以来
やみつきになったと、

人狩りマンハント)として月に一度、人間を
無人島に連れてきては狐面を被せて追い回し、
殺しているサイコっぷり。

後半に登場する、組織と敵対する青年・宇田川優が
瀕死の重傷を負って同じくサイボーグになり
共に戦う……という辺りで終わっています。

エッセイマンガ『連載終了!』にも
経緯が描かれてますが、本当に勿体ない。

オカルト、バイオレンス、エロス、ダークヒーローと
いった単語が好きな人にはたまらん作品です。

メタルK

メタルK