『不思議の国の千一夜』(80~)は
ランバルドの王子セブランと相棒の
白い神馬ヘンデク・アトラタンとの冒険を描く
中世ヨーロッパ風世界を舞台とした
コミカルなファンタジー作品です。
王子と書きましたが、実はセブランは女の子。
父である王様が息子を欲しがり
「もし娘だったら死刑だ」とまで
王妃に言いましたが、生まれたのは女でした。
こう書くと手塚治虫『リボンの騎士』を
彷彿とさせますが、この作品はほのぼの風味で
周囲の協力に恵まれたセブランは王子として
すくすくと男らしく成長していきます。
唯一、セブランは女ではないかと疑う王弟の
大臣ダロスの息子、サイラスにケガをさせてしまい
(サイラスはいい人)
旅に出たセブランは、神馬ヘンデクに出会います。
世間知らずでお人よしの危なっかしいセブランと、
気難しい性格ながら、解説兼フォロー兼ツッコミ役の
ヘンデクとはいいコンビでした。
大臣ダロスから雇われた殺し屋・イアモンと
相棒の黒神馬サイクロンも憎めない面白キャラです。
イアモンが追ってくることで、セブランの旅に
緊張感が生まれ、更にギャグやオチも担当してくれる
なんて便利なキャラでしょうか。
旅の途中、セブランはドラゴンの呪いを受けて
性別が変わってしまうのですが
結果的に男になることで全てが
丸く収まるという展開に。
その後、隣国のミルテ姫を嫁に迎えてハッピーエンド
……かと思いきや
ミルテ姫はセブラン以上の世間知らずで、
コウノトリが赤ちゃんを運んでくると思い込んでおり
結婚しているのにキスから先はしたことがない
清らかな間柄のまま。
説明もしづらいので、せめて世間並みの知恵があればと
「知恵の実」を探しにセブランは再びヘンデクと共に
旅立つのですが、
セブランの留守中、セブランの叔父の嫁のベルベルが
ミルテ姫に善意で詳細を教えてしまい、
一時ミルテ姫が男性恐怖症になったりもしましたが
ちゃんとめでたしめでたしで終わります。
このふんわりほのぼのな世界、子供の頃から大好きです。
そういえば子供の頃は、ベルベルが大臣に頼まれて
セブランに迫り、叔父を身代わりに一晩過ごすとか、
赤ちゃんの作り方で悩んだりとか、ちょっとHな
マンガだとも思ってましたね……(遠い目)
不思議の国の千一夜―ヘンデク★アトラタン物語 (1) (講談社漫画文庫)
- 作者: 曽祢まさこ
- 出版社/メーカー: コミックス
- 発売日: 1998/04
- メディア: 文庫
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