昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

トマトスープ『天幕のジャードゥーガル』その1(1巻感想)

『天幕のジャードゥーガル』
(21~)は13世紀モンゴル
帝国を動かした女性、
ファーティマの生涯を
描いた歴史モノです。

過酷な人生に立ち向かう
一人の少女の物語としても
素晴らしいですが

中世のイスラム女性の暮らしや
モンゴル側の事情を描いた
物語というのも貴重です。

冒頭は1213年のイラン東部。

奴隷の少女シタラは
「教養をつけさせれば
高貴な方の傍仕えになる」と
いう奴隷商人の目論みで

その地方で有名な学者の
家に預けられます。

しかしシタラは教養を
身につければ遠くへ
売られてしまうと

勉強を拒み、逃げ出そうと
します。

その家の一人息子ムハンマド
事情を聞いて穏やかに助言します。

「勉強して賢くなれば
どんなに困ったことが
起きたって

何をすれば一番いいか
わかるんだ それは絶対に
わるいことじゃない」

シタラはこの家に残り、
働きながら学ぶことになります。

ムハンマドはやがて学問の
ために旅に出ますが
「手紙を書く」と約束して
何度も送ってくれます。

微笑ましい二人の絆は
母であるファーティマ奥様も
気づいていて

数年後、彼の傍に仕えて
ほしいと言われます。

(具体的には言ってないけど
妾として、のはず)

喜んだのもつかの間、
街はモンゴル軍の
侵攻を受けます。

亡き主人の形見でもある
エウクレイデスの「原論」の
提出を拒んだシタラを庇い、
奥様は殺害されます。

奥様「……わ……私の娘に……
触ら……ないで…………」

シタラは斬られずに放置された
ものの、外へ出ると街は
廃墟と化していました。

モンゴル軍は女子供と
職人たちを一か所に集め、
成人男性は全て殺害。

女性にも逆らえば容赦はなく、
シタラと共に働いていた
女奴隷たちも次々に……。

ムハンマドがいる街も
既にモンゴルの手に落ちたと
聞いたシタラは絶望します。

モンゴル兵に射殺されることを
望んでふらふらと出歩いていると

「原論」の掠奪現場にいた
若い兵士・シラに止められます。

折角だから続きます。

ハマム(浴場)が出てくると
乙嫁語り』(アニス編)
読み返したくなりますね。