昭和のマンガを読み返して
改めて思うのが
(当時のギャグシーンって
オーバーアクションだよなぁ……)
ちょっと検証してみます。
70~80年代マンガのギャグに
欠かせないリアクションは
「ずっこけ」
もはや死語の可能性が高いので
念のため解説すると
誰かがおかしな言動を取る=
ボケのリアクションとして
ずるっと滑って転ぶから
「ずっこけ」という
ニュアンスでいいはず。
・その場に倒れる。
・倒れはしないが体が傾く。
・ひっくり返った足だけ描く。
・ぶっ飛ぶ、爆発する。
・「ズコー」など口で言う。
様々な表現方法がありますが
この「ずっこけ」を入れる
ことで
「コイツは今おかしな
言動をしている」
=ここは笑うところと
暗に教えているわけです。
例を挙げると
その場に全身で倒れる→
『奇面組』シリーズ。
会話劇や変顔などが
続いた際、メリハリを
入れるために全身描いてる
という作画事情もあるかも。
飛んだり逆さになったり
バリエーションの多さが
素晴らしい……!
倒れはしないが体が傾く→
『CITY HUNTER』
リョウのボケに対して
香がずるっと斜めに傾く
シーンはよく出てきました。
ひっくり返った足だけで表現→
『THE MOMOTAROH』
プロレスもので全身が
描かれることが多いから
ギャグシーンは足だけでも
十分、ということなのかも。
実は『動物のお医者さん』
でも
靴+足首程度がコマの端に
描かれるのをカウントすれば
普段冷静なハムテルくんで
さえ、ずっこけてることに。
全身でひっくり返ってるけど
「ひ」の形に記号化されてる
タイプは
『シェイプアップ乱』で
よく見かけました。
「マンガは子供が読むもの」と
いう認識だった昭和の頃は
ここが笑いどころ、と読者に
教える必要があったのでしょう。
やがてそこまでオーバーに
しなくても、読者は理解できると
思われるようになったためか
言葉でのツッコミや無言など
動きが少なくなります。
ボケ→ずっこける→ツッコミと
いう順番で展開して
いたのが、
時代の流れでテンポが
早まったというのも
あるのかもしれませんね……。