昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

ゆうきまさみ『白暮のクロニクル』その4

巧みなミスリード
本作の魅力の一つ。

ミステリは読者の
(こいつが犯人だろう)と
いう予想をいかに見事に
裏切るかが重要です。

そのため容疑者は、読者が
カン違いするような怪しい
言動を繰り返したり、

やたらと濃いキャラクター
だったりするものです。

前述の村上は「元維新志士で
学生運動にも関わっていた」
というバックボーンで

作中の出番こそ少ないのに
いくらでもスピンオフが
作れそうな設定持ちでした。

(公安が出張ってきたのは
村上が学生運動の前科で
監視対象だったから)

4巻では若いオキナガたちが
登場しますが、不老不死的な
存在になったのに

意外とやることはなく、
制限も多いと嘆くシーンが
あります。

5巻では古いオキナガたちが
登場し、現代社会について
いけない苦悩が描かれるので

彼らに比べればずっと
恵まれた立場だろうに
考えさせられるシーンです。

古いオキナガたちは
収容施設で暮らしていて
あかりは研修の名目で
しばらく過ごします。

合コンで再会した大学の
先輩・山田も医師として
そこに来ているという
ちょっとしたフラグも発生。

ところがそこでオキナガの
自殺死体を発見。

あかりは早速あちこちに
訊いてまわり、それによって
施設内のオキナガたちの
キャラや人生が描かれます。

魁もある人物に
面会するため施設に
やって来ます。

施設で眠り続ける少年、
章太は魁の幼馴染みで
「羊殺し」の目撃者でした。

犯人を目撃したらしい章太は
瀕死の重傷を負い、魁の血で
オキナガになったものの
六十年以上意識が戻らず……。

この施設にいる母親が
いつまでも若いままのに、

面会に来る娘が年々老いて
いくというエピソードが
胸に堪える……。

5巻サブタイトル
「絶望の楽園」も、オキナガ
たちは結構明るいのに、

結構警戒心強かったり、
病気を抱えたままオキナガに
なってしまったり、

永遠に狂ったままとか、
闇を感じる話でした。

ゆうき先生は
淡々とした描写だし
絵もさっぱりしてるから
まだ救いがありますが

描く人によっては相当
胃にくる作品になるかも……。

続きはまたそのうちに。