『とりぱん』(05~)は
ほのぼの風味の自然観察
&日常エッセイマンガ。
主に自宅に来る野鳥や猫、
虫や植物まで
作者の周辺と日常が、
愉快で優しい独特の
視点で描かれます。
(ただし虫が苦手な人には
おススメしません)
まず読んでて思うのが
よく見てるな~~~~~。
※窓ガラス越しに見てる
絵なのは演出で、実際は
窓はスダレで覆われてるらしい。
ペットの場合は家にずっと
いるわけですが、本作の場合
描かれるのは主に野生の動物たち。
エサを食べてる間はじっと
してるにせよ、いつ来て
いつ去るかもわかりません。
それでもふとした瞬間を
見逃さないのがすごい。
勿論自宅だけでなく、
外で白鳥に餌やったり
山菜取りに行ったりもします。
個人的に雨の日に、近所の
外飼い猫に襲われてるスズメを
「それハムと交換しない?」
と持ちかけて確保する
エピソード好きです。
(猫は状況的にまずいと
おもったのか立ち去る)
手のひらの中で体があったかく
なったヒナ(命名:ハム子)が
うとうとし始め、
はっと起きては力が抜けて
寝るという状態に
(うたた寝の仕草って
人も鳥も動物も共通なんだなあ)
なおハム子は晴れた日に
外に飛んで行き、
猫は約束通りハムを
貰ったオチもいい。
あと雑草に蹴つまづく
ハクセキレイとか
咥えた種がくちばしに縦に
ハマって取れなくなり、
困ってるスズメは
ぜひ見てみたい……。
また、作者は家庭菜園の
虫を庭の隅の食べていい
キャベツに移してあげたり
カマキリやキアゲハの幼虫を
飼ったりと女性には珍しい
虫好き。
本人も書いてますが、言動が
好奇心旺盛な昭和の小学生
男子のようです。
中心になるエピソードが
本人や動物たちのちょっと
間抜けな日常なのに、
〆のモノローグは意外と
詩的というギャップもいい。
そこだけ切り抜くと
古き良き少女漫画の
香りがあります。
本作を読んで外の植物や
鳥をいつもより観察する
ようになったら
別の楽しみも味わえる
のではないでしょうか。