昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

河惣益巳『火輪(かりん)』その1

『火輪』(92~)は架空の中国風
王朝「華」と仙界、神界を舞台に
繰り広げられる動乱と愛憎劇を

主人公の少年、リーアンを中心に
描いた中華風ファンタジー
作品です。

※難解な漢字名の多い作品なので
時々カタカナで表記します。

リーアンは心優しい白真珠の精・
白玲(パイリン)を育ての母に、

東海竜王・敖広(アオコァン)を
剣の師に持つ人間の少年……と
本人は思っていました。

ある日、白玲とリーアンの住む
昇竜山に侵入者が入り込み、
白玲が竜王から預かっている
竜王剣」が盗まれてしまいます。

リーアンは剣を取り戻そうと
人界を探し回って華(か)の国の
王都へ辿り着きます。

結論から言うと盗んだ犯人は
美しき第四公子の律
(リュイ)で

実行犯は彼に忠実な
禁軍校尉のレン。

リュイは剣を与えることで
兄の第三公子の野心を煽り、

第三公子は竜王剣で父と上の
兄二人を殺害して帝位を
奪います。

(リュイ自身の目的は
別にある)

詳細は省きますが、分身とも
言える竜王剣を通じて

被害者の恨みの波動を受けた
白玲は、ショックで本来の姿
=真珠玉に戻ってしまいます。

人間の姿になるのは一体いつに
なるのか、誰にもわかりません。

当初のリーアンの目的は二つ。

竜王剣を取り戻す。

・白玲が人間の姿になるまで
長い時を待てるよう仙人になる。

しかしどちらも
前途多難で……。

当初は、保護者はすごい存在でも
リーアン本人は「普通の人間」の
はずが

次第にとてつもなく高貴かつ
ハイスペックがどんどん足されるのが
河惣作品らしい。

(竜で麒麟で玄武で性別自在で
額に天帝の証……)

このお話は(養)母のために
家を出た少年が旅を通じて
自分のルーツを知り、

成長していくという王道中の
王道であると同時に

人界・仙界・神界の三つの世界で
同時に繰り広げられる戦いと
愛憎劇という、壮大なスケールで
描かれる物語でもあります。

国名こそ架空ですが、
登場する仙人や神人は
有名なキャラも多く

特に封神演義』『創竜伝好きな
人にはたまらない作品でしょう。

続きます。

火輪 1 (白泉社文庫)

火輪 1 (白泉社文庫)