昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

岩明均『ヒストリエ』その6

11巻ではアレクサンドロス
よく似た青年、パウサニアスに
焦点が当てられます。

彼の兄はオレスティスの王になるはず
でしたが、国も婚約者もマケドニア王の
フィリポス二世に奪われました。

自力で取り返す能力もなく、
フィリポス二世に仕える同族の
世話になりながら、王への
恨みを募らせ続けます。

当然、周囲からは呆れられ
孤立していく一方。

その影響かパウサニアスは
感情を表に現さず
幼い頃から「心が無い」と
言われていました。

むしろあの諦観の境地のような
性格は、心が壊れないための
防衛では……。

仕事を世話する見返りに
当然のように体を求めてくる
ショタ野郎の相手をするだけでなく

その息子の侮蔑や逆恨みまで
淡々と引き受けます。

レオンナトスって特に悪い印象も
ない好青年と思ってたのに、子供時代に
そんな陰湿なことしてたのか……。

 皮肉なことに、兄が最も憎む
マケドニア王の息子と
パウサニアスはそっくりでした。

兄は弟がアレクサンドロス
影武者になり、本物と入れ替わる
妄想を抱いていましたが

王をライオンから庇った際、
顔にキズを負ってしまいます。

血を吐きながら恨み言をぶつける
兄を冷静に眺めてたり、

死の床でコップぶつけられて取っ手が
壊れたのを「まだ使える」とか
考えてたり

本当に「心が無い」かもと
思わせるキャラ立ての巧みさ……。

そんな彼が唯一、心奪われたのが
自分を襲ったライオンの顔とか
気になりすぎるエピソードです。

更にこのなんともサイコなキャラが
よりサイコなアレクサンドロス母、
オリュンピアスと出会うのだから
先が気になってなって仕方ないよ!!

 オリュンピアスに忠実な配下の男、
ネオプトレモスもなかなか曲者なのに

二人の前だと常識人感覚で
ツッコミ役になるのが
面白い。

そもそもオリュンピアスが
エウリュディケの毒殺を企み、
エウメネスが気づいて未然に防ぐ

→王に報告、ひそかに暗殺者を
送られますが、その一人が
パウサニアス。

エウメネスが結びつけた縁……に
なるのかな?

続きを……早く……!

ヒストリエ(11) (アフタヌーンコミックス)