『賢者の石(エリキサ)』
シリーズ(00~)はルネサンス期の
ヨーロッパを舞台に、キプロス王家
出身の若き錬金術師・ロレンツォが
「賢者の石」を求めて旅する
ファンタジー作品。
月刊ホラーM掲載ということもあり、
オカルティックで耽美な作風です。
(途中から「ほんとうに怖い童話」に
掲載誌が変り、童話ベースのエピソードに
なりますが、話は違和感なく続いています)
ロレンツォは地中海・キプロス島の
王家の出でしたが、7歳の頃
精霊や神々が見えると言ったために
異端審問にかけられ、
火あぶりになるところを
家庭教師で女錬金術師の
美女・ローザに救われます。
(王子としては廃嫡される)
ヴェネツィア元首の甥でもあり、
現在はボローニャ大学で医学や
考古学を学んでいます。
説明が長くなりましたが、
血筋・教養共にハイスペックで
神罰だ悪魔だと迷信に囚われた
中世人とは一線を画すキャラです。
物語としては
1:ロレンツォが賢者の石を探す
過程で出会う人々のドラマ。
2:ロレンツォ自身にまつわる
エピソード。
(かつての師・ローザ探しや
ローザからロレンツォに託された
両性具有の子供、レビスや
肉親=キプロス王室関係)
1の方が多いです。
舞台になった国はヴェネチア、
スペイン、トルコ、スイス、
神聖ローマ、中欧、
ティムールなど。
登場キャラも完全オリジナルから
普通の人間とは違う能力者、
実在した人物まで様々。
チェーザレ、ルクレツィア、
アレクサンドル6世の
ボルジア一族から
神聖ローマ皇帝ジキスムント1世、
ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、
若き日のルター、
秘術により意識のみ登場の
ジル・ド・レや、
意識だけ12世紀のエルサレム王に
憑依してテンプル騎士団の隠し財宝を
探したりします。
当然、巻ごとに雰囲気も変わり、
大団円のハッピーエンドから
バッドエンドまで何でもあり。
本のタイトルも変わります。
作者の知識量もすごいですが
それを美しくも時に恐ろしい物語に
仕上げる力量が素晴らしい。
ちょっとしたモノローグや台詞も
歴史好きならニヤリとすること
請け合いです♪