昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

秋乃茉莉『賢者の石』シリーズ

『賢者の石(エリキサ)』
シリーズ(00~)ルネサンス期の
ヨーロッパを舞台に、キプロス王家
出身の若き錬金術師・ロレンツォが
「賢者の石」を求めて旅する
ファンタジー作品。

月刊ホラーM掲載ということもあり、
オカルティックで耽美な作風です。

(途中から「ほんとうに怖い童話」に
掲載誌が変り、童話ベースのエピソードに
なりますが、話は違和感なく続いています)

ロレンツォは地中海・キプロス島
王家の出でしたが、7歳の頃
精霊や神々が見えると言ったために
異端審問にかけられ、

火あぶりになるところを
家庭教師で女錬金術師の
美女・ローザに救われます。
(王子としては廃嫡される)

ヴェネツィア元首の甥でもあり、
現在はボローニャ大学で医学や
考古学を学んでいます。

説明が長くなりましたが、
血筋・教養共にハイスペックで

神罰だ悪魔だと迷信に囚われた
中世人とは一線を画すキャラです。

物語としては

1:ロレンツォが賢者の石を探す
過程で出会う人々のドラマ。

2:ロレンツォ自身にまつわる
エピソード。

(かつての師・ローザ探しや
ローザからロレンツォに託された
両性具有の子供、レビスや
肉親=キプロス王室関係)

1の方が多いです。

舞台になった国はヴェネチア
スペイン、トルコ、スイス、
神聖ローマ、中欧
ティムールなど。

 登場キャラも完全オリジナルから
普通の人間とは違う能力者、
実在した人物まで様々。

チェーザレ、ルクレツィア、
アレクサンドル6世の
ボルジア一族から

神聖ローマ皇帝ジキスムント1世、
ダ・ヴィンチミケランジェロ
若き日のルター、

秘術により意識のみ登場の
ジル・ド・レや、
意識だけ12世紀のエルサレム王に
憑依してテンプル騎士団の隠し財宝を
探したりします。

当然、巻ごとに雰囲気も変わり、
大団円のハッピーエンドから
バッドエンドまで何でもあり。

本のタイトルも変わります。

作者の知識量もすごいですが
それを美しくも時に恐ろしい物語に
仕上げる力量が素晴らしい。

ちょっとしたモノローグや台詞も
歴史好きならニヤリとすること
請け合いです♪