昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

手塚治虫『MW』その1

『MW』(ムウ 76~)は美しき
殺人鬼・結城美知夫が少年時代に浴びた
米軍の毒ガス「MW」を巡っての復讐と
顛末を描いたピカレスクロマンです。

またこの話は結城と肉体関係を
持ちながら罪の意識に苦しみ続ける
神父の賀来巌(がらい いわお)との
BL要素も含まれています。

※殺人、拷問などのエグいシーンや
BLが苦手な人にはおススメできません。

09年に実写映画化。
結城=玉木宏、賀来=山田孝之でした。
BL要素はカットされています。

結城の表の顔はエリート銀行マン。
歌舞伎役者の兄そっくりの顔立ちで
幼い頃から美少年です。

しかし裏の顔は悪魔。

16年前にある小島で毒ガスを浴び、
隠蔽に関わった関係者を次々に
残酷に殺害していきます。

時にはターゲットを男女問わず
美貌でたらし込んだり、
女に変装して行動したり……。

賀来は16年前、ある不良グループに
所属していました。

仲間たちと小島を荒らしている時に
幼い結城が乗ったヨットと遭遇、
連れ出して一緒に過ごします。

実はその島には米軍の毒ガスが
隠されていました。
ある日漏れたガスが風に乗って島民を……。

神父には懺悔の場で語られた内容に
守秘義務があります。

だからこそ結城は嬉々として
殺人内容を喋り、教会内で変装して
警察の目を逃れます。

賀来が警察に詰め寄られても
喋れないのは義務だけでなく、
結城と肉体関係があるから。

しかも子供時代の結城に
最初に手を出したのは賀来です。

バレたら身の破滅だからこそ
賀来は結城を裏切れないのです。

 

なおこの作品の連載当時、男同士の
恋愛を描いた少女漫画がヒットして
いました。

手塚先生はそれに触発されて
挑戦してみたそうです。

ランニング&ブリーフ姿の男が
「抱いて!」と相手を押し倒すのは
あまりBL的ではありませんが

義務と肉欲と情愛と罪の意識に
縛られ、苦しむ神父と

それを楽しく眺めながら
利用し、翻弄する悪魔的美青年と
いう関係性は耽美の極みと言えます。

※当時BLという単語はなく、
「耽美」と呼ばれていました。

続きます。

MW 1

MW 1

 
MW -ムウ-

MW -ムウ-

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video