『猫喫茶のマリリン』(14~)は
飼い猫だったマリリンがアクシデントで
主人と離れ離れになってしまう。
引き取られた猫カフェで主人との再会を
待つが、そこは猫たちの厳しい
鉄火場だった……という
猫視点で描かれるお話です。
一巻完結。
猫カフェ=キャバクラとは
よく聞きますが
「廓」に例えたアイデアが
素晴らしい。
おやつやおもちゃを貢がれ、
時に身請けもされるのだから
言われてみればその通り。
店名も「猫カフェKURUWA」です。
マリリンは引っ越しの際、業者の車から
ケージごと放り出されてしまい、
落ちたのが猫カフェの玄関先。
麻呂眉の特徴から店長に
「まゆゆ」と名付けられます。
店の猫たちから「人嫌いのフリをすれば
店長の家で飼ってくれる」と
教えられますが
マリリンは主人に見つけてもらうため
店に残ることを選択。
しかし店内は厳しい階級制で
月の揚げ代=貢がれたおやつ、
オモチャの金額でキャットタワーに
座る位置が決まる過酷な世界。
読者から見れば猫だらけの
コミカルで可愛い画面でも、
猫からすれば大真面目な
修羅場なのがおかしい。
「腹を……よりによって
腹を撫でさせるなんて……」
「そんな破廉恥なことが……」
「天性の妓(おんな)だわ……」
猫が白目で(恐ろしい子……)状態に……!
マリリン=まゆゆは短毛種の白猫で
客観的には面白い顔という扱い。
そのためか相棒のハイジ共々、
いわゆる陰キャの人や
鬱屈した思いを抱いている人に
好まれます。(婉曲表現)
「温室育ちの甘ったれ主人公が
厳しい世界に放り込まれ、周りの意地悪
にもめげず、度胸や努力、友人の協力で
強く成長していく」と書くと
マンガの王道ですね。
ちなみに飼い主と再会しますが
マリリンは元通りの「飼い猫」には戻らず
新たな環境で新たな自分を生きます。
この猫カフェは廓に例えるためシステムが
特殊ですが、店の猫たちがこんなこと
考えてるかも……と思うと楽しいです。
同時収録の『チーちゃんとママどろぼう』も
いい話ですよ。
猫好きな方にオススメです。