精神的にずしんと来る第一話とは
対照的に、第二話はコミカルな内容。
川本三姉妹&おじいちゃんだけでなく
高校には林田先生、棋士仲間には
同年代の二階堂くんがいて
温かかったり時に暑苦しかったりする
好意を向けてくれていることが描かれます。
こんなにも優しく見守られながらも
初期零くんが鬱々としていたのは
やはり「姉」香子との共依存が
原因だったと思います。
「突然家族を失った小学生の男の子」を
父親が引き取ってきた時、その家の子の
反応は様々でしょう。
可哀想だから優しくしないと……になるか、
親の愛を奪う侵入者とみなすか、
香子は典型的な後者でした。
結果的に香子は零を精神的なサンドバッグにして
父親への不満をぶつけ、
零はそれを甘んじて受けることで
「弟」=家族の一員になれていたのです。
また零は引き取られる際に一つの
ウソをついていたため、その後ろめたさも
あったのでしょう。
幸田父「……君は 将棋 好きか?」
第9話のサブタイトルが「契約」と
あるように、
零はそれを(私と同じプロ棋士になるなら
弟子として引き取るが……)というニュアンスで
捕え、頷いてしまいます。
(お父さんが将棋好きだったから
一緒に遊びたくて頑張ってたけど
実は苦手だった……)と
もし正直にそう答えていたとしても
「じゃ、施設行っても元気で」と
手のひら返す人だとは思えませんが
施設送りが決まっている状態で
唯一助けてくれそうな人に対して
一番喜ぶ言葉を選んで当たり前です。
もしも~だったらという仮定は
言葉遊びにすぎませんが
もしも「零が本当に心から将棋好きだったら」
もしも「香子(と歩)に零を家族として
歓迎できる心の余裕があったら」
もしも「幸田父さんが弟子や研究会やらで
人を集めるのが好きで、他人がしょっちゅう
家に出入りする環境(=香子のヘイトが零一人に
集中しない)だったら」
こんな重い設定にはなってなかったろうな……。
しかし零が川本家という家族に迎え入れられた
ことで、共依存が断ち切られます。
続きはまたそのうちに。