昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

岩明均『寄生獣』その7

広川の事件以降、寄生生物はなりを潜め、
後は後藤との対決を残すのみとなります。

広川と田宮良子が集めた少人数さえ
仲間割れしてるので、結局彼らは
群れて協力しあうことのない

=長期の繁栄ができない種族だったのかも。

圧倒的な強さで新一&ミギーを苦しめた後藤も
最後には人間が不法投棄した有害なゴミが
死因になります。

その最期はあまりにもか弱く、哀れなものでした。

個人的に後藤を罠にかけるため、ミギーが
わざと危険運転する際の

「シートベルトしめろよ
マジでな……」のシーンがすごく可愛い。

後藤から一旦、新一を逃がした後

(きみの……脳を奪わなくて
よかったよ……)

(おかげで友だちとして……
……いろいろな
楽しい……思い出を……)

終盤だけあって泣ける名シーン揃いです。

意識が薄れ、死んでいく感覚を味わったミギーは
その後一時復活するも再び新一の右手の中で
眠りにつきます。

ラストを飾るのが寄生生物との戦いでなく
人間の殺人鬼・浦上なのがこの作品らしい。

騒ぎに紛れて逃亡していた浦上に見つかり
村野さんが捕まってナイフを突きつけられます。

新一が人間じゃないと言う浦上。
認めようとする新一に

「言わなくていい」とばかりに遮って
浦上を挑発、殺されかけます。

ビルから突き落とされた村野さんに
伸ばした手が間に合わなかったと
一度は絶望してからの

実は右手が掴んでいたシーン、いいですよね……

「そりゃ人間がそれだけ 
ヒマな動物だからさ

だがなそれこそが人間の
最大の取り柄なんだ

心に余裕(ヒマ)がある生物
なんとすばらしい!!

だからなぁ……

いつまでもメソメソしてるんじゃない
疲れるから自分で持ちな」

イメージ内でのミギーがそう言った直後、
右手に彼女の重みを感じる演出が素晴らしい。

最後まで流血シーンの多いマンガでしたが
爽やかに終わるのもすごい。

寄生生物という特殊な存在を出すことで
人間とは何か、人間らしさとは何かを
考えさせられる、漫画史に残る傑作です。

全10巻と短いですし、未読の人はぜひ読んでほしい!!

寄生獣(10) (アフタヌーンコミックス)

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