昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

青池保子『緋色の誘惑』

『緋色の誘惑』(97~)は世紀末の日本を
舞台に、「魂のお医者さん」こと
女性霊能者・あんり先生が患者の悩みを
悩みを解決するコミカルなオカルトものです。

ノストラダムスの大予言ネタがあるのが
90年代後半らしい……。

ヨーロッパを舞台とすることが多い
青池作品においては相当な異色作です。

あんり先生(苗字不明)の病院は
オカルト問題専門「マインド・メディカル・
センター日比谷」

あんり先生本人はおっとり優しい美女ですが
「ウシロ」と呼ばれる龍神の守護神が
憑いていて、時折彼女の体に降りてきます。

(※表紙の人物が「ウシロ」憑依状態)

彼女に心酔するキャラの濃いオバさん婦長・
一之宮さんと、気弱な事務のバイト青年・井上次郎が
ドSなウシロに怯えつつ従うドタバタが愉快です。

彼らだけでも面白い作品になったでしょうが
井上次郎を接点に登場するツッコミ役の
加賀先生が登場することで、より盛り上がります。

加賀先生は優秀でタフでスパルタで
合理主義。オカルト嫌いの堅物のイケメン。

エールバッハ少佐が医者になったような
キャラが「そんなわけあるか!!」と
ツッコミを入れることでいつも通りの
青池作品になっています。

次郎が(かつての家庭教師)加賀先生に片思いしていて
妙な方向に吹っ切れて加賀先生を戸惑わせるのも
笑いどころです。

当初、加賀先生はあんり先生を
インチキと決めつけていて

次郎から情報を聞き出しては
あんり先生の治療の場に出没します。

しかしあんり先生の治療も患者への態度も
実にまっとうなものでした。

加賀先生はやがて彼女に対する認識を改め、
全てはウシロという別人格の仕業と
思うようになります。

そして「あんりを守ってやるぞ」と
固く決意するのでした。

これはこれで、あんり先生の味方を
増やしたいウシロにとっては
「誘惑」完了なのかも……。
というところで話が終わります。

ところであんり先生はカラオケ好きなのですが
加賀先生の感想が雅楽の趣のある中森明菜
「俗界を捨てた深山幽谷中森明菜
一回聴いてみたい……。(すごく眠くなるらしい)

緋色の誘惑 (Princess comics)

緋色の誘惑 (Princess comics)