昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

荒川弘『百姓貴族』

百姓貴族(06~)は『銀の匙』や
鋼の錬金術師』でおなじみ、荒川弘さんの
コメディタッチなエッセイマンガです。

一言でいうと
「農家は大変だ」

荒川作品の読者なら作者が農家出身なこと、
自画像がホルスタインなのはご存知だと思います。

この漫画でも作者と実家のご家族は牛で、
人間として描かれる担当の女性イシイさんとの
ボケとツッコミのやり取りから始まります。

(旦那さんとお子さんは人間キャラ)

考えさせられるシビアな内容もあれば、

ジャガイモ畑からポテトチップスの袋が
掘り出されて皆で食べたとか冗談のような話も。

※キツネの仕業らしい。

テラフォーミング済みの火星で農業やったらどうなる?
北海道がソ連領になっていたら?個人宅で牛を飼ったら?など
仮定の話も興味深いです。

最強キャラは荒川父で、言動も育児も
失敗も何もかもが豪快。

そんな親父様が機械の操作をミスって
堆肥を幼い牛先生に頭からぶっかけてしまい

怒りたくても口が開けられない娘牛を前に
「……ごめん」がちょっと萌えました。

親父様が死にかけるたびに牛が身代わりになるとは
一体どんなシステム……?

 動物ネタも多いですが、可愛いだけでは
すまさないのが農家視点です。

どんな状況下でも牛同士のいじめは発生するんだ……。

シカをうっかり車で轢いて、解体された足だけ
もらう話は銀の匙にもありましたね。

一日中重労働してるのに、部活や卓球は
別腹とかも。

荒川作品の根底にある、タフで前向きで
健全な思想を育んだルーツがよくわかる漫画です。

個人的には妄想オチ話の、ふれあい牧場で
一般客に混じって牛先生が搾乳して
あっという間に空にしてしまう→

牧場の人「きっ……貴様 プロ農民だな!!!」

「家畜とヌルいふれあいをしていれば
私はまたあらわれるぞ!! ははははは!!」

(高笑いしながらヘリで去る仮面のプロ農民牛)

これと2巻で機械に巻き込まれまいと踏ん張った人が
服だけ持っていかれて、下半身マッパで仁王立ちのオチは
何度読んでも笑えます。大好き。

百姓貴族 (6) 通常版 (ウィングス・コミックス)

百姓貴族 (6) 通常版 (ウィングス・コミックス)