昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

山岸凉子『舞姫 ~テレプシコーラ』

舞姫~』(00~)はバレエ教室を経営する
母を持つ主人公、篠原六花(しのはら ゆき)を
中心にバレエ少女たちの成長と挫折を描いた
漫画です。

テレプシコーラギリシャ神話の
舞踊の女神のこと。

掲載誌は本の雑誌ダ・ヴィンチ
恋愛ネタはほぼなく、内容もシビアです。

実力より、経済力のある親を持つ子が役に
選ばれたり、拒食症に悩む子がいたりします。

序盤の六花は小学5年生。
甘えん坊でおっとりした性格の
想像力豊かな子。

一つ上の姉の千花はしっかり者の優等生。
学校の成績も優秀で、プロを目指して
日々努力を重ねていました。

第一話で六花のクラスに髪はボサボサ、
ガリガリに痩せた男の子のような印象の
須藤空美(すどう くみ)が転校してきます。

そんな外見なのに足元(180度開く)から
「あの子バレエやってる」と見抜く
六花の洞察力がすごい。

しかし空美の秘密はバレエだけでなく、
親に児童ポルノ写真のモデルを
やらされている衝撃の場面が出てきます。

アル中の父親の姉、つまり空美の伯母は
かつては天才バレエダンサーで
母は彼女の内弟子という関係性。

(常に家族の犠牲になり、抑圧
され続ける立場の空美が辛い……)

六花はふとしたきっかけから
空美をバレエ教室の無料見学に誘い、
彼女の才能に驚きます。

千花もそれを見て、ライバルを
得たかのように思えましたが、
空美はコンクールで男装して踊ったのが
バレて逃亡、そのまま転校してしまいます。

その後千花は「くるみ割り人形」の
主役の少女クララ役に選ばれたものの、
ジュテの着地に失敗、大ケガを負います。

更に手術ミスでケガがなかなか治らず、
学校でのいじめなども加わって……。

 リアルタイムで読んでて本当に
落ち込みましたよ……。

千花の死で第一部は終了、
第二部は高校生になった六花が
ローザンヌに挑戦します。

大人の事情かかなり駆け足ですが、
久美が美少女ローラとして登場(?)
色々謎を残したまま終わります。

淡々と進むのに目が離せない、不思議な
作品です。

舞姫 1―テレプシコーラ (MFコミックス ダ・ヴィンチシリーズ)