70年代頃は「脳移植手術」が
ホットワードだったのか、
やたらと漫画に登場します。
繋ぎ合わせた死体に、生きた
人間の脳を移植して
美女に生まれ変わらせる
高階良子『地獄でメスがひかる』
(72~)
歳を取った女優が若返りのため
自分の娘に脳移植を計画する
トラウマ級ホラー作品
楳図かずお『洗礼』(74~)
マッドドクターが死んだ若妻の
体を生かすため、主人公の脳を
移植するコメディ漫画
弓月光『ボクの初体験』(75~)
男女入れ替わりは定番ネタでも
脳移植という事情は珍しい。
当時脳移植モノでヒットした映画
でもあるのかと探してみたら
58年のSFホラー映画
『ニューヨークの怪人』というのが
出てきました。
死んだ息子の脳をロボットに
移植したら、次第に人間性を失い
暴走する……というお話。
そんなにメジャーではないですが
結構評価は高いみたいです。
また、劇場版ルパン三世
『ルパンVS複製人間(クローン)』
(78年)のラスボス、マモーの
正体が巨大な脳味噌。
『人造人間キカイダー』(72~)も
ライバルキャラ・ハカイダーの透けてる
脳味噌は両者の生みの親、光明時博士のもの。
キカイダーに攻撃させないための
人質ということですが、他に方法なかったの?
後に脳味噌は元の体に戻されて
博士は復活し、
脳を奪われたハカイダーは
プロフェッサー・ギルの
脳をかわりに移植されます。
昭和のマンガは脳ミソ好きすぎ……?
ちなみに『ブラックジャック』
封印作品「快楽の座」も75年です。
「ネクラ」な少年を心配した親に
頼まれた医師が
脳に電極を埋め込む「スチモ
シーバー」で性格を変えようと
するが……。
漫画は現実離れした世界を描く
ものとは言っても、
その時代の空気に強く影響されます。
70年代辺りは公害など
科学がもたらす害も描きつつも
もっと研究が進めばこんなことも
できるかも?と過大な期待が
伺えますね。
ところでロボトミー手術は30年代に
始まり、75年に禁止されたそうです。
つい最近までそんなこと
やってたんだなぁ……。