昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

芦原妃名子『Bread&Butter』

『Bread&Butter』ブレッド&バター 13~)
は、とある事情で夢だった教師を諦めた主人公・
柚季(ゆずき)と、元漫画家でパン屋兼文房具屋の
原洋一との恋と再生の物語です。

序盤、無職になった柚季は婚活を始めますが
惨敗続き。

しかしその時の経験から、自分にとって
食事がとても重要だと気づきます。

洋一と出会い、彼の作るパンを食べた際に
“この人と美味しいご飯が食べたいなあ”と
思った瞬間、プロポーズしていました。

柚季は慌てて取り消しますが、
返事はまさかのOK。

驚く柚季に、妹から「だまされてるんじゃないの!?」
という至極尤もなツッコミが入ります。

洋一の焼くパンは間違いなく美味しいけど
贅沢な材料を惜しみなく使ったもので
採算が取れていないのは、素人目にも
明らかでした。

洋一は長身のアゴヒゲメガネで39歳。
面倒くさいこだわりの性格で秘密主義。

洋一の過去、柚季が教師を辞めた理由などは
エピソードが進むうちに語られますが

描かれるパンが言葉での表現含め
ものすごくおいしそうです。

またこの作品は柚季と洋一だけでなく、

洋一の元彼女・純の新たな恋。
柚季の元彼・笹本くん夫妻と娘。

柚季が学校を辞める原因になった生徒・
沢すみれ

(あそこまでやられてすみれの世話を焼く
柚季は聖人か……)

マフィン専門店の沙奈さん、
修行先のパン屋で出会った五十嵐さん、

お店のお客さんたちや同業者など
様々な人たちの事情が描かれます。

美奈子さんいい人だな……。

恋愛絡みから家族・仕事・人生などが
パンや食事にまつわるエピソードで
描かれる、味わい深いお話です。

柚季が失った夢の代わりにパン作りという
新たな夢を見つけるのに対して

今度は洋一が漫画家に復帰して
一体どうなるのか、今後も目が離せません。

沙奈さんや常連客の福永さんもそうですが
「思い描いていたものと違う」と気づいて
やり直すエピソードが多い気がするのは

生きてれば人生何度でもやり直せるという
メッセージなのかもしれませんね。