怪奇な話には違いないですが、いつもの
トンデモ科学による犯罪も社会問題も
関係ない、変わり種エピソードです。
昭和特撮名物・観光地とのタイアップ回
でもあります。
大雑把なあらすじは
恋人・周作とのドライブデート中に交通事故で
死んだはずの女性・ニーナが蘇り、
吸血鬼化して人を襲いはじめる。
ニーナはポーランドの孤児院に捨てられていたのを
大使だった養父が貰い受けたのですが
実は吸血鬼の子孫だった……?
自分の過失でニーナが死んだという罪の意識も
あるのか、彼女の正体を知った上で逃避行を続ける周作。
48時間おきに血の渇きに悩まされ
恋人の目の前で醜い姿を晒すしかないニーナ。
こう書くと悲劇的ですが、なんで吸血鬼化した姿が
西洋風の青いお岩さん……?
化け物の顔を手の甲で下から上になぞり上げると
人間に戻るって大魔神か!と
思わずツッ込みたくなります。
そもそも1回(もしくは2回)死んで蘇った実績のある
ニーナが崖から落ちたくらいで本当に死んだのか?
本当に吸血鬼なのかも謎のまま話は終わります。
周作は議員の息子で、父親が汚職か何かで逮捕されて以降
「フーテンの仲間に入っていた」と言われてるので
元々嫌なことがあると現実と向き合わず
逃避するタイプだったのでしょう。
当時は九州へのハネムーンが流行しており
金は持ってるから行ってはみたものの事態は悪化するばかり
→遂にこの世からの逃避として心中というオチなのかも。
血を抜かれた死体が見つかった際に
所長が「現代の吸血鬼だね」と言いつつ
売血業者が起こした事件に触れるのが
時代を反映しています。
※1950~60年代半ばまでは売血制度がありました。
1964年にライシャワー駐日大使が刺された際に
輸血した血液から肝炎を発症という出来事をきっかけに
献血に切り替わっていきます。
『あしたのジョー』でも丹下段平が
血を売っていたことに触れられています。
ところで吸血鬼といえばルーマニアでは?と思ったら
当時は日本と国交がないみたいですね。
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