昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

獣木野生『PALMシリーズ』その2

ジェームスの過去は何度も回想シーンの形で
出てきていましたが、その詳細は
『蜘蛛の文様』にて明かされました。

ジェームスの体は傷だらけで、肩は犬の噛み傷、
脇腹にあるのは散弾銃痕なのは知ってましたが

どういう状況でそれがつけられたのかが
この章で判明。

思ってた以上にヘビーだった(愕然)

どれほど世を恨んでもおかしくない体験を
したジェームスですが、一周回ってお茶目で
楽天的な性格に成長します。

実の母親は彼を生んですぐ亡くなったので
乳母であるメキシコ移民のマリアが
実子と分け隔てなく愛し育ててくれました。

そのことが、ジェームスが闇堕ちすることなく
全てを許して受け入れる器の大きさに
繋がっています。

ジェームスを長年狙っていた殺人鬼・
エティアス・サロニーすらも許したので
彼は死後、ジェームスの中に溶けてしまいました。

自分は殺人鬼の息子だと罪悪感を抱いていた
幼いサロニーjrにも「お前が罪を背負うことはない」と
言って、後に養子に迎えます。

サロニーは生前は殺人衝動のままに動く
不気味なストーカーでしたが

死んでから嫁と息子がいたことや、
監視役のCIA職員にジェームスのことを
熱心に語って聞かせてたとか

妙に人間くさいところが次々出てきます。

人間くさいと言えば、長期連載なので
登場キャラもとんでもなく多いのに
みんな魅力的な人物揃い。

 

個人的には、基本偉そうで態度デカいのに、
ジェームスやジョゼには振り回されっぱなしの
フロイド警部が大好きです。

ジョゼから逃げようとしたら嵐が来て
飛行機も飛ばなくて怖がってるシーンは
ニヨニヨしました。

結局心配になって自分から訪ねていくのも萌え。

霊媒体質で他人とシンクロし、過去も未来も
読み取ってしまう謎の女性、ジョゼの過去が
新章『TASK』で明らかになります。

『愛でなく』の章は幸せそうだったのに……。

映画のようなユーモアに満ちた会話と、
哲学的・詩的なモノローグも特徴的で
唯一無二の名作です。

カーターやアンディに関してはまたそのうちに。