「ストーカー」=特定の誰かに執着し
つきまとう変質者的な意味になったのは、
実は日本では90年代からです。
アメリカで80年代に起きた犯罪により、
ストーキング防止法ができたのが90年。
その事件を元にしたテレビ映画が作られ、
日本で公開されたのが93年=平成5年。
(邦題は『ストーカー 異常性愛』)
以降、ストーカーという単語がフィクション
作品でも頻繁に使われるようになります。
それ以前の作品、
獣木野生『パームシリーズ』(83~)
主人公ジェームスを長年つけ狙っていた
CIAの殺し屋兼殺人鬼エティアス・サロニーも
泉のランニングコースや部活の練習風景が
見えるマンションを選んで引越し、
同じ学校に転入してくる『絶愛ー1989ー』の
南條晃司も、
気がつくと美奈子の傍にいる『悪魔の花嫁』の
デイモスも、
当たり前ですが、その頃は誰も「ストーカー」
なんて思ってなかったのです。
『ストップ!ひばりくん』でボクシング部の
キャプテンがひばりの姉の写真を部屋一面に
貼ってますが、
今なら「ストーカーだ……」と
ドン引かれる場面です。
『待ちぶせ』なんてユーミン作詞のアイドル
ソングもありました。
『ハチミツとクローバー』(00~)では
リカさんへの言動に対して、
真山がさんざんヤバい奴扱いされました。
昭和の作品だったら、あのままでも
「一途な男」と称賛されただろうに
(ストーカーという概念ができた後の)
平成ではそういうツッコミが必要に
なっていたのです。
報われて良かったな真山……。
時代が変われば同じ行為でも
捕え方が変わるというお話でした。
※一途な愛と言っておけば何でも
許されるわけじゃないですが。念のため。
ちなみに本来の意味は「忍び寄る者」
転じて司会者という意味もあったはずですが
ググっても出ない……。
ホラーオムニバスの『アウターゾーン』の
司会者ミザリィ・ストーカー、
『機動武闘伝Gガンダム』で
「ガンダムファイトォ!レディゴー!!」
と叫ぶレフェリーさんも
名前はストーカーでしたね。