昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

市東亮子『やじきた学園道中記』その2

時代劇だろうと現代劇だろうと、アクションものは
ラスボスと対決し、勝つところで終わります。

しかし『やじきた』の凄さはその後です。

太郎山高校が狙われていたのは野菜だけでなく、
古文書に黄金の観音像が記されているという理由で
土地もある会社に狙われていました。

この件は『やじきた』でも濃いキャラの一人、
ハーディ・レニアートンが興味を示して
関わってきます。

詳細は省きますが、観音像は姫御前のもとに
ありました。

探りに来た小鉄にすんなりと見せてくれたのは
欲に駆られて来た者ではないと察したからでしょう。

黄金の仏像ではなく、無名の修行僧が彫った木造の仏像を

「……これは……奥日光の魂なのじゃ」

「その意味がわかる者のみが この名もなく
密やかな木彫り像の内から

黄金に輝く補陀落浄土の恩恵を
感じられるのじゃ」

この辺りのやり取りは

「なにもののおわしますかは知らねども
かたじけなさに涙こぼるる」という句を
連想しました。

また、太郎山高の生徒会長は「黄金の観音像」とは
酒の湧く泉のことだと解釈し、

創意工夫を重ね、そこからお酒を造りだします。

それをハーディのもとに持って行く場面、
「本当によくやったね」

「まるで錦秋映える 奥日光の風景を
溶かしこんだようだね」

普段は変態のくせに、たまにいい奴な
ハーディ。

純朴なタイプには下心なく優しくしては
やじさんたちに不審の目を向けられるという……。

小鉄にセクハラな発言を連発しておいて
この回ラストでは

「君の労をねぎらおう……」
「いやこれは酒ではない……菩薩の慈悲だ……」

実に粋なことをしてくれるからたまりません。

 

この日光編は姫御前の血の繋がらない弟、
桂丸こと通称・かつ姫も重要キャラです。

光徳学園内の紅葉の庭園でのきたさんとの
真剣で見合うシーンは素晴らしいの一言。

美しく静かな空間にぴんと張りつめる緊張感、
ふわりと舞う紅葉、二人の一瞬の躍動と
まさに息をのむ対決でした。

雪也と小鉄とか、まだまだ語り足りないので
またそのうちに。

やじきた学園道中記 1

やじきた学園道中記 1