『舞子の詩』(77~)は主人公・茜舞子が
バレエダンサーを目指すお話です。
彼女には家出した兄・姿郎がいて、兄妹二人で
父の遺作『エレナの赤い花』という演目を踊るのが
バレエ団を経営する母の悲願でした。
ある日、舞子がひょんなことから出会った
浅見千也子という同い年の少女にバレエ見学を
OKし、使い古しのトウ・シューズを与えます。
千也子は体操選手だったこともあり、
バレエを始めた直後から
みるみる頭角を現していくのでした。
だからって公演でいきなりオデットの衣装着て出て
「オデットが二人!?」って王子役を困惑させるって
千也子さん無茶苦茶や……。
※本来のオデット役の舞子の機転で演出っぽく
見せかけた。
しかしこのトンデモ……もといドラマティックな
展開の連続こそが上原きみ子マンガの特徴でもあります。
その後、舞子と千也子は病院の取り違えで
入れ替わっていたことが発覚するのでした。
二人が本当の家庭に戻っての生活だけでも
1本マンガ作るのに十分な設定なのに
・最も長く戦ったライバルは千也子じゃない。
・転校先の学校で、体の柔軟さから体操部に誘われた
舞子は、大会に出てバレエを踊ってしまい
自分の中のバレエの血を自覚する。
・兄の姿郎と『エレナの赤い花』で共演の夢を果たすが、
骨肉種を患っていた姿郎は舞台上で亡くなる。
・舞子に想いを寄せる天才ダンサー鳳流衣
(おおとり るい)が女優の私生児。
・その女優は舞子の本当の父親(映画監督)に惚れている。
・兄亡き後のパートナーが、女として育てられて
やさぐれた「スケ番お夏」こと夏樹。
更に夏樹は一度だけ男としてコンクールに出ており
その際の「青い鳥」の見事さから「幻の青い不死鳥
(ブルーフェニックス)」と呼ばれていたエピソードつき。
息もつかせぬ怒涛の勢いと極端な展開、
そして少女の憧れが揃った作品だと思います。
初めて読んだ時、小学生だったので
「ポワントで……軽々と立ってる!」を
マネしてよく上履きで爪先立ちしてました……。