2;複数の学校にまたがる「番長」
総長や影の番長などとも呼ばれていました。
こちらの方が揃いの長ランなど、
服装から掟から組織だってる印象です。
美形の女顔のボンボンで「上様」もしくは
「バカ殿」の別称を持ち、
更に腹心の小鉄は忍者という
この設定の盛り具合がたまりません。
『伊賀野カバ丸』でも女顔の優等生・
目白沈寝が複数の高校を配下に置く
「関東諸星連合」の会長でした。
学園では番長格は柔道部の巨漢・白川と思われており
実際は彼の方が部下という構造。
あさぎり夕『アップルどりぃむ』(84~)では
ヒロイン・いつみの血の繋がらない兄で
女顔の白石由紀が「総長」でした。
番長さんは別にいます。
この3作の共通点は「少女漫画における総長は
女顔で普段は優等生タイプ」
何故か一つの学校の番長は男くさいタイプが
多いのに、それより上の立場のキャラが優男なのは
ギャップ狙いもあるのでしょうね。
主人公・戸川万吉が最終的に日本中の番長たちの
トップ「総番」になります。
『男坂』は本来これのオマージュ作品として
描かれたものでしたが……。
宮原ナオ『三軍神参上!』に登場する
敵側の組織が「関西番長連盟」
関東側にも対抗する組織「御条番長連合」があり、
総長・神右衛門のもと白い学ラン集団が実に昭和的でした。
舞台は東京ということもあり、刺客が送られるだけで
本体との全面対決はありませんでした。
3巻では関西番長連盟に依頼された
香港からの刺客・カンフー使い林家の三姉弟と
「三軍神」こと主役三人が戦うという
トンデモ展開がありました。
個人的な意見ですが、
戦後の不安定な時期、学生運動の60~70年代、
校内暴力の嵐が吹き荒れた80年代序盤など
とにかく血の気の多かった昭和において
暴力によってでも秩序を与えたカリスマ、
それが番長という存在だったのかもしれません。
次回に続きます。