昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

上原きみ子『カプリの真珠』

『カプリの真珠』(72年連載開始)は
イタリアの美しい観光地・
カプリ島を舞台に繰り広げられる、

ホテル王シェル家の令嬢
おてんば娘のシンシアと
両親のいない少年ロメオとの
恋の行方を描いた少女漫画です。

身分違いの男女の許されない恋……と書くと
何だか悲しげな展開を想像しますが

初登場からロメオのひく観光馬車を
いきなり乗っ取ろうとするフリーダムっぷりを
発揮するシンシアのこと、

妨害も意地悪も、泣きはしつつも決してくじけない。

タフでパワフルで天衣無縫。そしてとてもお人よし。

そんなシンシアを応援せずにはいられない漫画です。

意地悪なキャラも、完全に悪人ではなく
時には主人公を励ましたり、

退き時を心得てたりで憎めないキャラ造形に
なっているので後味もいいです。

またこの話のバックストーリーには、

10年前家出して行方不明のシンシアの異母姉と

ロメオと幼い弟妹を養ってくれている
優しい牧場主アントニオ

この二人の「結ばれなかった恋」の物語が
隠れており、シンシアとロメオの恋の行方を
ややこしくしています。

(ロメオORシンシアが周囲に詳しい事情を
説明すれば、すごくスムーズに終わる話だよな……)
というツッコミをする間もない勢いでドラマは展開します。

乙女のロマンと怒涛の超展開を惜しみなく詰め込み
決してくじけぬ強いヒロイン、

70年代特有のキラキラした大きな瞳と作風、
特有のノリは人を選ぶかもしれませんが

一度ハマるとクセになるのが上原きみ子作品です。

 

私くらいの年代の人は、小学館の「小学○年生」で
この方のバレエ漫画「マリちゃんシリーズ」
読んだことがある人も多いのではないでしょうか。

タイトルは作品によって少し違いますが、
とりあえず「まりちゃん」という女の子が
バレリーナを目指すお話です。

※だいたい記憶喪失のママとか出てくる。

舞子の詩(うた)』なども含め、昭和の少女が
初めてバレエに触れたのは上原きみ子作品と
言っても過言ではないかも……。