昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

島本和彦『風の戦士ダン』

『風の戦士ダン』は雁哲也原作の現代を舞台とする
忍者バトルものです。

忍者でなく「超忍」と呼ばれたり、

伊賀と甲賀とかではなく、「恐車一族」と
「神魔一族」の対決など

昔ながらのネーミングではなく
現代風にアレンジされています。

当初は「神魔一族」が謎の「終末兵器」を
奪って反乱を起こしたのを

政府から命令を受けた「恐車一族」の
中の精鋭「巡回処刑人グループ」が
兵器奪還と神魔抹殺に動くという話でした。

主人公・朝霧ダンは「巡回処刑人
グループ」の一人です。

反乱以前は「恐車」も「神魔」も敵対しては
いなかったので、仲間たちの中には
叔父・甥や兄妹で殺し合う展開もありました。

話が進むにつれ、実は神魔の首領が
悪人ではないことが描かれ、

遂にダンの実の父であると判明。

こう書くと、とても重たいシリアスな話に
聞こえます。

確かにバトルシーンはシリアスで
シビアな展開も山ほどありますが、

それ以外のやりとりはいつもの
島本作品の問答無用の勢いとギャグが
てんこ盛りというこのギャップ。

ダンが神魔大首領に助けられた際
(あの野郎、おれに気があるんじゃ……)と
盛大に誤解したり

お約束である「神魔四天王の名乗り」を
台無しにする場面がツボでした。

後で知ったのですが、この当時
島本先生はデビュー直後だったそうで。

 

あまりに島本色が強いため、雁哲也氏は
基本設定やストーリーの枠組み程度しか
提供してないのかと思ってましたよ!?

 

なおそんな影の薄い雁哲也氏の
雁哲也らしさが最も出ているのは

「黒幕は戦争を企む日本政府だった」
という部分でしょう。

 

なお雁哲也氏は島本先生の
ギャグアレンジを結構気に入っていて、

美味しんぼにもコミカルなノリを
取り入れたりしてたそうです。

もしこの作品の作画担当が島本先生じゃ
なかったら美味しんぼはもっと暗い雰囲気の
話だったかも……?