昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

桐丘さな『大正処女御伽話』

大正処女御伽話(タイシャウ
ヲトメ ヲトギバナシ 15~)
は、山荘で引きこもり生活を送る
お坊ちゃんの志摩珠彦と、金で買われた
嫁・夕月との出会いと変化を描いた
物語です。

珠彦は名家の生まれですが、事故で
母親を亡くし、右手が不自由になった
ことで父親から見捨てられました

そんな人生を諦めた状態の
珠彦の元に

彼の身の周りの世話をするために
夕月(ゆづき、以下通称のユヅ)が
やって来ます。

この時点で珠彦は17歳、ユヅは14歳。
13話から15歳になります。

健気で可愛いユヅと暮らす中、
珠彦は次第に笑顔と生きる張りあいを
取り戻していきます。

二人の距離が縮まると、妨害するように
父親から売られそうになった村娘の綾(りょう)や
珠彦の妹で棘のある性格の珠子が登場しますが

彼女たちもユヅに影響され、変化していきます。

このまま二人で幸せに暮らしました……と
なるかに思えましたが

大正12年9月1日
関東大震災が起きます。

学生時代の親友に会いに東京へ行っていた
ユヅが巻き込まれ、珠彦は東京へ
探しに向かいます。

ユヅと珠彦の絆はより深くなり、
別荘を村人の避難所として開放した
ことで、今まで遠巻きにしていた
村人からも信頼を得ます。

精神的に落ち着いた珠彦は復学する
気力を取り戻しますが
父親から厳しい試練を与えられ、

また学校も決して居心地のいいものでは
なく……。

もどかしい展開が続きますが
珠子と綾(りょう)は勿論、

珠彦の同級生の白鳥策(はかる)と
双子の人気歌手・白鳥ことりなど
珠彦とユヅの味方も増えていきます。

そして実家との決別、ユヅの両親との
顔合わせや新たな人生を得るまでが
描かれます。

ユヅ側に圧力がかけられ、一度は
ユヅから珠彦に別れを告げるなど

試練はしんどいですが、それだけに
優しいエピソードが胸に沁みます。

ユヅ可愛いんですよ本当に!!!

珠子と綾も自分で選んだ道を進みます。

大正レトロな世界や、ユヅ周辺の
ほんわかした雰囲気もいいですね。
キャラメル自作したくなりました。

大正処女御伽話 1 (ジャンプコミックス)

大正処女御伽話 1 (ジャンプコミックス)

 

 

『仮面ライダージオウ』その2

『ジオウ』は平成20作品目の
集大成と言うことで、様々な
レジェンドライダーが登場します。

ジオウアーマーを装着しての
ライダーキック、

本来ならグラフや方程式が出るのが
「なんか難しい式」みたいに
雑になって

万丈「なんか違くね?」
戦兎「……最悪だ」と
言われてたのがツボでした。

エグゼイド回では気難しい
飛彩先生がゲイツには結構親切で
ツンデレ同士共鳴し合うものが
あったのかも……。

個人的にはウィザード回で
アナザーウィザードとなった
ゲストキャラ、早瀬に対しての
扱いが印象深いです。

ただ倒すのではなく、過去の自分に
電話させることで、言えずに燻っていた
気持ちにケリをつけさせます。

ソウゴ「きっと結果は変わらない。
でもお前の未来は必ず変わるから!」

(これが王の器か……!!)と
納得させるエピソードを重ねます。

その後早瀬が転職し、外見も垢抜けてた
のには感動しました。

ソウゴは優しくお人好しですが
決してそれだけではなく

時にしたたかな、思いもよらぬ
判断をしてウォズから
「きみの魔性の部分も好きだよ」
言われます。

その後オーズ編でもアナザーオーズ、
檀黎斗王に「王を勉強したい」の一言で
黎斗の傍にいることを許されます。

黎斗がおだてに弱いことなど
ソウゴが知る由もないのに、
一瞬で懐に入ったのがすごい。

ゴースト編ではタケルと意気投合。
なんだろう二人並ぶと滲み出る
癒しオーラ……。

(実際はこれほどスムーズでは
ありませんが)

ライダーたちはソウゴを、時にゲイツ
信用し、力の源であるウォッチを
渡してくれます。

(そしてそのたびにウォズが祝う)

全てのウォッチが揃った時、
「グランドジオウ」フォームに
なるんですが……仏壇……?

20人のライダーが一斉に
キック仕掛けてくるのって
オーバーキルもいいとこですよ!

そして最終話では
「オーマジオウ」フォームに

オーマジオウを滅ぼしに来た
ゲイツが「なれ」と言うのが
感慨深い……。

ドスの聞いた声での「祝え……」の
命令も魔王感ありましたね。

 続きはまたそのうちに。 

 

 

みさき速『特攻天女』その3

夏になると『特攻天女』の
夏休みエピソードを思い出します。

シリアスが続いた後の箸休めに
どこかへ遊びに行ったり、短編の
ギャグ回があるのは連載漫画の
お約束ですが、

実は9~12巻まで夏休みです。

(9巻序盤まで「族狩り」編で
だいぶ重い話だったから)

9巻で祥の補習話、瑞希祖父の
誕生日パーティ、

風邪ひいた祥のリクエストで
高村がプリンを作るため
四苦八苦します。

10巻で遊佐が登場、
(ここで一旦シリアスに戻る)

11巻で瑞希の海の別荘編で
瑞希の切り札”千里の素性が明かされ、

12巻で夜桜会三人娘で夏祭り。
そして夏休みの宿題が終わらずに
瑞希のマンションに連行され……。

ほのぼのしてるようで、伏線は
順調に張り巡らされていってます。

というかシリアスとほのぼの回の
落差がすごい。

祥「海ならまた来年 来りゃいいじゃん
なー瑞希

瑞希「そうね また来年……」

約束したくせにっ……!!!!

海のお土産に祥が遊佐に渡した
亀キーホルダー、最終話で倒れてる
時も身に着けてる……

あんなダサいもん死ぬまで離さない
くらい大事だったら、何で一人で
出て行ったこの大馬鹿野郎!!(号泣)

個人的に12巻、祥からの「助けて」の
電話で高村、井沢、アキラ、遊佐が
揃って祥のもとに駆けつける
エピソード大好きです。

遊佐が仲間として馴染んだ
ことを示す回でもあります。

アキラ「そんな言い方ないだろ
井沢」

「遊佐はこう見えても
優しいところがあるんだぞ」

遊佐「タコ焼き屋の常連を
減らしたくねーだけさ」

ツンデレか!
そしてここで既に遊佐とアキラの
フラグが立ってる。

 結局、瑞希がラストに現れ

「夏休みの宿題はちゃんと
終わらせてもらいますからね」の
一言で、4人から祥が差し出される
平和なオチ。

新学期は黒川直紀が祥に高村あての
お弁当を届けさせるついでに
餌付けにも成功。

この後12~13巻の「兎」編で
ちょっとシリアスに戻り
しばし箸休め。

それから始まる「月下仙女」編が
かなりドロドロするので
ホントにこの辺りは癒されます……。

 

『蒼き流星SPTレイズナー』その5

レイズナー』第二部の敵で、特に
活躍したのはル・カインと共に
登場した「死鬼隊」でした。

ホッケーマスクを被った残忍非道な
四人組で、エイジや地球人たちを
苦しめます。

強いのは確かですが常に仲が悪く、
足の引っ張り合いで負けるパターン。

ゴステロが一番キャラ立ってて、
他の三人はゴステロをいびる時だけは
結束してました。

そのうちの一人、マンジェロは小柄なのを
気にして常に猿のようにしゃがんで
いるのですが

細身で手足が長いので、蜘蛛を思わせて
より気持ちが悪い。

素顔は妙にイケメンなのも不気味ですね。
一応、彼が頭脳担当。

ゲティとボーンは脳筋で、
後に仲間に粛清される方がゲティ。

何度も失敗を繰り返すゴステロ
牢に入れられ、脱走する回
32話『ああ、ゴステロ』は

脱走のための涙ぐましい努力が
描かれます。

腕の内部のコードを伸ばし、
そのせいで神経に痛みが走る表情など
逐一描写され、スタッフのゴステロ愛を
感じさせます。

見張りの命を保証した上で
牢の鍵を開けさせて裏切る際の名言が

「約束ってなぁ、する時より破る時の
ほうが刺激的で面白いんだぜぇ!」

基地内の大勢の人間を殺しまくり
ゴステロはSPTを奪って脱走、
ジュリアも連れ去ります。

勝手に横恋慕して襲って、ゲイルや
エイジに返り討ちに遭ってるのに

「お前は俺の心をズタズタにした!」

と、被害者意識でいるのが、
(ストーカーの思考ってこんなん
だろうな……)と妙にリアル。

※当時、ストーカーの概念はない。

ジュリアを助けに来たエイジとゴステロ
対決中、死鬼隊が双方始末しようと
攻撃してきます。

この時、ゴステロは死んだと
思われましたが、生きてました。

仕返しにエイジと戦闘中の死鬼隊を生身で
攪乱して仲間割れを起こさせ、
結果的にエイジが助かるという皮肉。

(このせいでゲティが粛清された)

38話で終了でなかったら
生き伸びる予定があったとか。

キャラ立ちの良さといい、悪役としての
使い勝手の良さといい
本当に奇跡的な人物ですよね……。

蒼き流星SPTレイズナー DVD PERFECT BOX-01

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青池保子『エル・アルコンー鷹ー』

『エル・アルコンー鷹ー』(77~)
16世紀末の英国を舞台に、
英国とスペインの混血の海軍将校、
ティリアン・パーシモンを
主人公にしたピカレスクロマンです。

07年に宝塚で舞台化しました。

短編『七つの海七つの空』
敵キャラとして初登場。

エロイカより愛をこめてでは
肖像画「紫を着る男」として登場。
少佐のご先祖様ですね。

第一話はティリアンが嵐の中、
最初の赴任先の船に乗り込んでくる
ところから始まります。

赴任早々、ティリアンは船長が海賊と
取り引きしていること、船長は泳げない
という弱みをあっさり握ってしまいます。

当然命を狙われますが、
船長のやり方に不満を持っている
下士官たちを言葉巧みに焚きつけます。

船長命令でマストの最上部に登らされ、
下りられず怯えている新入りの少年水夫・
ニコラスを「助けたいのでちょっとした
騒ぎを起こしてほしい」と。

救助作業兼高みの見物をしている間に
狙い通り船内で反乱が発生、

それをあっさり掌握して下士官たちと
ニコラスの絶対の忠誠を手に入れます。

口先一つで人を操る狡猾さ、
そして優しさを備えているのが伝わる
見事なエピソードです。

ティリアンはスペイン・英国両方の
名門貴族の血を引く貴公子で
家柄一つとっても出世は
約束されていました。

しかし彼の野望は
七つの海を制覇すること。

それも英国海軍ではなく
世界最強のスペイン海軍を
動かして……。

そのため彼はスペインと内通し、
スペインにとって邪魔な陸軍将校や
商家、海賊団を破滅させていきます。

彼に恋する海軍令嬢も
利用して捨てたり

実の父親かもしれない、亡き母の
元恋人を処刑したりと
相当にハードボイルドな話ですが

それでいて70年代の少女漫画らしい
華やかで優雅な美しさがあります。

 史実ではあと数年後には
スペイン海軍は英国に敗れます。

しかしこの当時には
最盛期の輝きがあったわけで、

読者は決して叶うことのない野望に
自分の人生を燃やすティリアンを
少し切ない目で見ながらも
強く引きつけられるのです。

エル・アルコンー鷹ー完全版

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藤田和日郎『からくりサーカス』その2

この作品は勝と鳴海が交互に
主人公として描かれる構成に
なっています。

(二人は傍観者の立場で別人の
回想シーンに入ることも)

鳴海は頑ななしろがねに反発する
こともたびたびでしたが
かなり早い段階で恋愛フラグ
立ってますよね。

「あんな こ憎らしい女なのによ
勝に対する時はすげぇきれーに
見えやがる。」

(気絶しているしろがねに見とれ
頭を掻きながら)

「反則じゃねえか……
涙なんて……よ……」

しろがねはしろがねで
鳴海の「冗談」に

鳴海「いいか、しろがね。
おまえは オレの女になる。」

しろがね「ああ……それは……
笑えないな。」

(柔らかい表情)

こんなにも強固なフラグが
そびえたっていたのに!!!
と、後半どれほど
もどかしい思いをしたことかッッ!!!

鳴海・しろがねコンビ以外にも
2巻後半からは勝の覚醒シーンがすごい。

 勝(ぼくが 変わらなきゃ!!)

(そして もし生きのびたらーー
いつも笑える、ぼくになる!!)

そんな覚悟を決めまくった少年が
空から降ってきて助けられた日には

冷徹な殺し屋のリーダー、
阿紫花(あしはな)さんの
態度も変わろうってものです。

鳴海やしろがねにとっては
勝は庇護対象なので

二人には心配が先に立って見えないものが
客観的な立場の阿紫花さんには見える。

戦力だけでなく「視点」という意味でも
貴重なキャラです。

(頼れる曲者という印象の阿紫花さんが
大好きなんですが、詳細はいずれまた)

そしてあれだけ盛り上げて
3巻ラストはもう…………!!!!

リアルタイムでものすごく
凹んだのを今でも覚えています。

それだけに生存が分かった時は
めちゃくちゃ嬉しかったです。

その後鳴海は記憶と左腕を失った
状態で、男のしろがね・ギイと
老婆のしろがね・ルシールと
行動を共にします。

いつ記憶が戻り、勝たちと
合流できるのかと再び読者は
作者の掌の上で転がされるのでした……。

ギイと鳴海の関係性もいいですよね。

43巻と長い物語ですが、とんでもない
熱量で今なお読者を魅了し続ける
傑作です。

続きはまた後日。

 

藤田和日郎『からくりサーカス』その1

からくりサーカス(97~)
奇病・ゾナハ病をバラまく自動人形
(オートマータ)たちと、

彼らを破壊しようとする銀髪銀目の
人形使い「しろがね」との戦いを描く
熱く壮大なアクション漫画です。

18年にアニメ化しました。

序盤は父の莫大な遺産を受け継いだ
10歳の才賀勝(さいが まさる)を
中心に話が動きます。

愛人の子の小学生が遺産総取りなど
異母兄姉や親族が認めるわけはなく、

勝は命を狙われ、誘拐され
そうになります。

トランクを抱えて逃げる途中に
出会ったのが、大きな熊の着ぐるみ。

……の中に入っていた、ゾナハ病の
持病を抱えた拳法使いの青年、
加藤鳴海(かとう なるみ)

ゾハナ病は目の前の相手を笑わせないと
呼吸困難で死に至る奇病。

鳴海は勝に頼まれるまま
亡くなる前に勝の祖父が話していた

守ってくれる相手=「しろがね」
探しに同行します。

「いつでも勝から一番近いところの
サーカスにいる」との祖父の言葉の通り
しろがねはサーカスの芸人でした。

勝を「お坊ちゃま」と呼ぶ銀髪銀目の
美女しろがねは、勝のトランクにあった
大きな人形「あるるかん」を操り、

追っ手の不気味な人形たちを
一瞬で破壊します。

しろがねは自分を「勝が幼い頃、
フランスに滞在した際の乳母の娘」、

「雇ってくれた勝の祖父には
大恩がある」といきさつを説明します。

(勿論真実ではなく、表向きの理由)

勝とその父・才賀貞義。
祖父にあたる才賀正二。

勝を誘拐、殺害しようとする
黒賀村の人形使いたち。

フランスから来た謎の銀髪の
人形使い「しろがね」

彼女を「しろがね」に鍛え上げた
謎の老婆たちとその屋敷。

そして加藤鳴海……。

個別の思惑で動いていたキャラたちに
話が進むほど意外な繋がりが
見えてきます。

 1~3巻ではおどおどしていた勝が
しろがねと鳴海に出会い、
精神的な強さを手に入れるまでが
描かれます。

そして基本的に無表情なしろがねが
感情豊かな鳴海と出会い、
変化していくはじまりの章でもあります。

続きます。