昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

三原和人『はじめアルゴリズム』

『はじめアルゴリズム(17~)
独自の算式で世界を表そうとしていた
小学生の関口ハジメが、年老いた数学者・
田豊と出会い、数学を学びながら
成長していくお話です。

(以下、原作表記のウチダで書きます)

第一話で、ハジメの住む離島出身の
著名人としてウチダが招かれ、講演します。

ウチダがふと母校の古い校舎に立ち寄ったところ
昔自分が書いた数式に謎の書き込みが……。

ハジメは数学のルールを知らないまま、
独自の記号を用いて世界を表現しようと
していたのでした。

これは○○学の分野とか、そういう境界を持たず
ただただ数字や数式を組み合わせて無邪気に
遊ぶハジメ

「天才」と見抜いたウチダはハジメを島から
連れ出し、自分の元で育てようとしますが、
拒否されます。

しかしなんとかウチダの住む京都へ行くことを
承知し、共同生活が始まります。

常に数字のことが頭から離れない
風変りなハジメを、転校先のクラスメートたちは
面白がりつつ受け入れます。

寺の息子・カンタの家の庭で野球した際、
ハジメが打った球が偶然、本尊の手のひらに
乗る「ミラクルホームラン」に。

(でもあそこでコバシが転ばなければ
ああならなかったよな……)
などと考えているうちにハジメ

「全部……数学で予想できる……?」
という「カオス理論」に行きつきます。

 帰ってウチダに話すと、予想することは
果てしなく不可能だと言われますが

「人は全てを予測できない……」

「でも人間は世界を
理解できないってことではない」

私は学生時代、数学が苦手だったのですが
このマンガを読んでるとすごく損した
気分になります。

数学は芸術と同じく「世界を現す自己表現」
それを早く知っていたら、人生変わったかも……。

今から数学に向かう人に、そして数学が
苦手だった人こそ読んでほしい作品です。

またこの話には、ハジメとウチダだけでなく、
ライバルのテジマ(手嶋ナオ)など様々な
キャラが登場します。

数学だけでなく、彼らの物語も描かれるのですが
それはまた後日。

はじめアルゴリズム(1) (モーニングコミックス)

はじめアルゴリズム(1) (モーニングコミックス)

 

 

車田正美『リングにかけろ』その2

初期エピソードはアニメ版では大幅カットと
前回書きましたが

それでも宿命のライバル・剣崎順だけは
欠かせません。

序盤では大金持ちのお坊ちゃんでやたらと
エラそうな嫌なヤツでしたが

小学生時代の練習試合で竜児に敗れて以降は
彼をライバルと認め、敬意を払うようになります。

またその際、菊に「お前のパンチは軽い」と
指摘され、必死に特訓するあまり腕の筋肉を
痛めたことも……。

アニメ第一話は剣崎が腕を痛めた状態での
中学生都大会決勝戦から始まります。

個人的には選手宣誓時の

剣崎「おめえら教えといてやるぜ!!
血へどをはいて リングの上を
のたうちまわりたくなかったら
今のうちに棄権するんだな!!」

と言い放ったのが剣崎らしくて大好きです。

今思うとすごく中二男子らしくもある……。

親の権力を笠に着た嫌なヤツではなくなりましたが
エラそうなのと口が悪いのは変わらず。

むしろ元祖ツンデレと言っていい。

意外とお茶目なところもあり

剣崎の体を心配してタオルを投げ入れようとした
金平部長を転ばせ、レフェリーに何事かと
尋ねられた時の

剣崎「いや、ウチの金平部長の持病の
イボ痔が悪化してな……」(置鮎ボイス)

この台詞そのまま使ってくれてありがとう
(脚本の)黒田さん!

ストレートな方の下ネタ好きですよね。
育ちが良いはずなのに……。

基本ツッコミ不在なのもじわじわきます。

剣崎といえば、菊との恋愛フラグも
欠かせないエピソード。

 初対面では「おい女中!」
(差し出されたアイスティーに)
「馬のションベンか?」

最初の竜児との練習試合は、無残なリンチでした。
それでも試合だからと黙って見ていた菊は
剣崎が竜児を蹴り飛ばした時点で乗り込み

菊「てめぇなんざリングにあがる資格は
これっぽっちもねぇ~~~!!」

蹴るわ踏みつけるわで説教します。

※台詞はコミックス版より。

この二人が後に結婚するんだからなぁ……。
あと案外ロマンチストでもある。

ほんのさわりしか語れませんでしたが
続きはまた後日。

リングにかけろ1 DVD BOX

リングにかけろ1 DVD BOX

 

 

 

車田正美『リングにかけろ』その1

リングにかけろ(77~)は夭折した
天才ボクサーだった父の夢を継ぎ、
人生をリングにかけようとする高嶺竜児&菊の
姉弟の熱き物語です。

04年にテレビアニメ化しました。

序盤は「父の夢を子が果たす」「母との約束」など
義理と人情の昭和の熱血スポコンですが

次第に「個性的な美形キャラが物理法則を無視した
豪快かつ華麗な必殺技で勝利する」
車田漫画のフォーマットが完成していきます。

最初の進化の兆候はやはりブーメランフックを
試合で初披露した回でしょう。
(コミックス8巻、電子版5巻)

河井武士「な……なにがあったんだ ねえさん!?」

河井姉「き……奇跡よ」

「ボクシングの歴史はじまって以来
おこりえなかった奇跡が今……

このリングという四角い荒野の上を
うなりをあげてかけぬけていった!!」

ブーメランフックの凄まじい威力を見た
河井姉弟のやり取りですが

この時漫画界にも「車田漫画」という奇跡が
誕生したのではないでしょうか。

実際、TVアニメではそれ以前のスポ根時代は
ばっさりカットされ、最低限の回想シーンで
済まされます。

(第一話は剣崎VS竜児の三度目の対決から)

確かに今の感覚からすると、当時の昭和感あふれる
ベタ展開はしんどい人もいるでしょう。

母親が再婚した相手は、酒とギャンブルとDVの
三重苦オヤジで初日から本性を露わに……というのも

70年代は夫の暴力は耐え忍ぶしかなくても
今はいくらでも対処法がありますからね。

(そういう事情だったからこそ小学生&中学生が
家出して他人の家で暮らしても許されてるわけです)

個人的には上京する際のサブタイトル
「テリブル東京」とか昭和的でたまらんのですが
電子書籍版だとまるっとカットされてる……。

台詞もかなり変更&カットがあるので
当時のコミックスを持ってる人は貴重ですよ。

剣崎と菊が出会った直後の呼びかけも

「おい女中!」→「おいメイド!」→「おお使用人!」

とコミックス、完全版、電子版で
変わってたり。

続きます。

 

 

『超獣機神ダンクーガ』その3 結城沙羅

7月7日は『ダンクーガ』ヒロイン、結城沙羅
(ゆうき さら)の誕生日です。おめでとう!

記念に久々にダンクーガ話を。

80年代半ば、リアルでは女性の太眉メイクが
流行ってましたが、アニメで太眉のヒロインは
彼女くらいでは?

(あとは『Papa Told Me』の知世ちゃん)

赤毛の女性キャラは気が強いのは今なお続く
お約束。忍はよく引っぱたかれてました。

しかし男勝りであるほど、子供に向ける優しさや
赤くなったり困ったりする変化が可愛いものです。

沙羅の場合はシャピロへの愛も重要な要素。

元々シャピロは自分の能力を評価しない周囲に
苛立ちを隠しておらず、宇宙からの襲撃も
彼にとっては千載一遇のチャンスでした。

(彼女の機体を忍が撃ち落としたので
ついて行けなかった)

16話ではシャピロを試そうと白旗を持って近づく
沙羅を見て、グラスを落とすほど動揺したものの
殺そうとしています。

シャピロにすり寄っていた副官ルーナもその
反応に気づき、これ以降、沙羅に目をつけます。

24話では沙羅がシャピロのグラスを撃ち抜いて
「裏切り者の口に合うワインはないわ」と
逆にシャピロに狙いを定めますが、忍の乱入で
取り逃がします。

戦いの連続で、心身共に消耗した
沙羅が一時倒れたりもしましたが

遂に獣戦機隊はゾルバドス軍を地球から
撤退させることに成功します。

詳細は省きますが37話、

ギルドロームとルーナから裏切られ
全てを失なったシャピロが
最後に縋ったのは己の妄想しかなく

「私は神だ……!!」と発狂の高笑いが
誰もいない月基地に響きます。

(若本さんの熱演は必見です)

哀れな夢を終わらせたのは沙羅でした。

「バカだよ、あんた……」と泣き崩れる沙羅。
印象深名いシーンです。

 

ところで私は小学生の頃から

(ナポレオンを越えるとか神になるとか
言ってる男はどうかと思うよ沙羅……)と
ずっと思ってました。

ところが30年以上経って
「私は神だァァァ」と日常的に絶叫する黎斗神に
ハマるとは……人生何があるかわかりませんね。

 

『仮面ライダーエグゼイド』九条貴利矢 その2

7月5から東映時代劇アクション『GEZEN
ー純恋の剣ー』公開!犬飼貴丈さん、小野塚勇人さん、
町井祥真さん、武田航平さんなど特撮好きには
たまらんメンバーが出演ですよー。

というわけで貴利矢さん話の続きです。

消滅後も貴利矢さんの影響は大きく、

貴利矢さんの遺したデータを飛彩先生が発見、
大我が制作中のガシャットにデータを入れて

永夢がそこから中間フォームのマキシマムを生み出し
ゲンムを倒すという2クール目クライマックスの
素晴らしい流れ。

そして待ちに待った復活は……敵側としてでした。
革ジャンが黒になってるー!!

永夢を散々なじって攻撃し、何事か耳元で囁き、
逆上した永夢が貴利矢さんの顔を殴りつけるなど
完全に敵対関係になったかに見えた35話。

しかし真相は「自分の嘘に乗れ」と聞いた永夢が
グルになって敵味方欺く一芝居を打ったというオチ。

「あれぇ?……もしかしてノせられちゃった?」

かつては必至の虚勢から出たセリフが
痛快な一言になる見事な天丼!!

ついでに正宗の虎の子の消滅者データまで
かっぱらって去るしたたかさ。

戻ってきて早々に大我とニコちゃんの
関係に「……え、何この手。どういうこと?」

視聴者を代弁するツッコミをありがとう!!!

その後も貴利矢さんは戦闘面は勿論のこと、

大我と和解する際、言い出せずにいた飛彩先生の背中を押し、

セーブデータ開発中の新・檀黎斗の見張り役兼
ツッコミを引き受けて一緒に徹夜、

自らも感染・消滅の危険があるにも関わらず
新・檀黎斗を培養寒天がわりに抗体を作り出し

最終回が近づくと重くシリアスな展開になりがちな中、
お茶目なムードメーカーの役割も引き受けてくれました。

エグゼイドに欠かせないキャラすぎて
本編の半分近く不在なのが信じられない。

最終話で永夢が消滅者のリストを読み上げ、
「皆さんの笑顔を取り戻します」と誓った時に
貴利矢さんの名前も入っていた際の
嬉しいような困ったような笑顔、実にいい……。

続きはまたそのうちに。

 

稲垣理一郎 Boichi『Dr.STONE』

祝アニメ化!!本日放送開始ですよー!

Dr.STONEドクターストーン 18~)
突然、地球規模で人類と鳥類が石化する現象が起き、
理系の天才高校生・千空(せんくう)と相棒の
大樹(たいじゅ)は3700年後に復活。

文明の失われた世界で生き延び、人類と文明を
復興させようとする……という
SF&サバイバルアクションもの。

どれだけ頭が良くても、大樹復活まで千空一人だけでは
その日の生活維持が精一杯だったのがリアルです。

斜に構えてて口が悪いけど頼りになる千空と、
お人好しで一途な体力バカ・大樹のお互い全面的に
信頼しあってる感じが微笑ましい。

サバイバルに役立つ知識を千空・大樹でボケツッコミ
しながら披露するエピソードだけではジャンプ的に
物足りないのか、早々に敵役が登場します。

3700年の歳月は気候も変えており、
ライオンの群れを武器なしで退けるため
「霊長類最強高校生・獅子王司」の
石化を解いて退治してもらいます。

(千空・大樹は自力で復活しましたが
薬品で表面の石を腐食させれば生身に戻ると
二人はつきとめていました)

しかし司は「既得権益を持つ老人なんか
滅んだままでいい」という危険思想の持ち主でした。

二人のボケツッコミにちゃんとギャグ顔で
リアクション出来る可愛げも、
妹を大事に想う情もあるのに……。

千空と大樹は今まで作り上げた拠点も道具も
そこそこに、大樹の悲願だったヒロイン・
杠(ゆずりは)の石化を解いて逃走。

逃げたと見せかけて、銃を作るための硫黄を
手に入れるため箱根(温泉)を目指す千空の
目の付け所もすごいが、
それを即座に見抜いて追ってくる司もすごい。

 

しかし追ってくる司を振りきれないと判断した
千空は自分が殺されたように見せかけ、
大樹と杠に司のもとへ行くよう指示。

 

その後千空は石化から復活したのではなく
石化をまぬがれた人々の子孫、
「石神村」に住むことに……。

このワクワク感、展開の速さと熱さ、
すごく少年マンガ的な作品です!続きはまた後日。

 

『さらざんまい』

『さらざんまい』(19~)はカッパに
された一稀・燕太・悠の三人の少年が
人間に戻るために謎のカパゾンビと戦う
歌って踊るホモアニメです。

(嘘は言ってない)

ウテナ』『輪るピングドラム』『ユリ熊嵐
幾原監督作品。つまり

考えるな感じろでお願いします。

一稀(かずき)と悠(とおい)はカッパの王子ケッピを
蛙呼ばわりしたため、通りすがりの燕太は全くの誤解で
尻子玉を抜かれてカッパにされます。

元に戻りたかったらカパゾンビと戦えと
ケッピの曳く人力車に乗せられ、謎の空間へ。

そこにはカパゾンビが自分の欲望を満たす
アイテムを集めていました。

「取り戻さなきゃ~いけないものがある♪」
何故か歌いながら戦う三人……いや
三匹のカッパ。

カパゾンビから尻子玉をかっぱらうと
何故か三匹のうち誰か一人の秘密が漏洩します。

一稀の秘密がサイコすぎて怖ぇ……と
思ったら燕太も大概でした。

むしろ初登場が車上荒らしというアウトロー
言動の多い悠の方がまだ納得いく事情という……。

「え?何が起きてるの?どういうこと?」と
混乱しつつも度肝を抜く演出と歌がクセになり

見続けていると、だいたいの全体像が
掴めてきます。

この作品では6話が前半の集大成。
いろんなものがストンと腑に落ちて
泣きまくりました。

カパゾンビを作り出しているのは
謎のイケメン警官、玲央(レオ)と真武(マブ)。

こちらも「欲望を搾り取れ~♪」と歌って踊る
バンクシーンがあります。

「カワウソイヤァ」って何……と思ってたら
本当に敵がカワウソ帝国でした。

とはいえ11話しかないので、敵側の情報などは
最低限しか出ません。

一稀・燕太・悠の抱えていた秘密が
明らかになり、その上で彼らがどう行動し
成長していくのかが物語のメインです。

「何があっても繋がりを手放さない」と決意する
彼らの前に突きつけられるのは、決して優しい
出来事ばかりではありません。

それでも手放すな、諦めるなという
幾原監督のメッセージなのかもしれませんね。

続きはまた後日。

さらざんまいのうた/カワウソイヤァ

さらざんまいのうた/カワウソイヤァ