昭和の話がしたいんだ

昭和大好き団塊ジュニアの主に70~80年代漫画・アニメ・特撮語り

寺沢武一『コブラ』その1

コブラ(78~)は宇宙海賊コブラ
相棒のロボット、アーマロイド・レディと共に
海賊ギルドや様々な悪人を相手に
左腕に仕込んだサイコガンで立ち向かう
アメコミっぽいノリのSF活劇です。

第一話で平凡なサラリーマン「ジョンソン」が
退屈しのぎにトリップ・ムービーを見たところ
本来のプログラムにない「海賊コブラ」の
夢が現れます。

実はその夢こそ現実で、コブラは海賊ギルドとの
戦いに飽きて顔を変え、記憶を消して平凡な
人生を送っていたことが判明します。

しかし殺されかけたジョンソンがサイコガンを
敵の前に見せてしまったことで、コブラは再び
戦いの日々に戻るのでした……。

昔のコブラは見た目も二枚目でしたが、顔を変えて
三枚目になってなお言動がカッコいいのが素敵。

強くて頼りがいがあり、日常でもピンチの時でも
とぼけた軽口を叩くタフガイ。

どんな強敵にもチートで勝つということはなく
苦戦はするも、相手の弱点や一瞬の隙をついて
必ず勝利をもぎ取ってくれます。

最初に宿敵クリスタル・ボーイと戦った時の
(敗れたボーイが倒れる際)
「そんな手が……のこっていたとは……な……」

コブラ「こんな手で悪かったね……
切り札ってのは最後までみせないもんだぜ」

の回はぜひ見てほしい!!どんな手だったか!!

82年には『スペースコブラ』のタイトルで
アニメ化、同年に劇場版も作られました。

出崎統監督特有の止め絵演出、
キャラデザに杉野昭雄さん&大塚伸治さん

コブラ役:野沢那智さん
レディ役:榊原良子さん

音楽は羽田健太郎さん
主題歌は大野雄二さんと
もう拝むしかない豪華メンバーです。

あと劇場版主題歌、松崎しげる
『DAYDREAM ROMANCE』は実に名曲。
(劇場版は松崎しげるコブラの声を担当)

大人向けの作品とはいえ、子供たちも魅了し
当時の小学生男子は左腕に円筒形のものを巻いて
「サイコガン!」とか

お尻にパンツを食い込ませて、登場する女性キャラの
マネをしたものです。

 語り足りないので続きます。 

コブラ ソング・コレクション

コブラ ソング・コレクション

 

 

榛野なな恵『Papa Told Me』その2

Papa Told Meは子供時代は知世ちゃんや
クラスメイトたちなど十代キャラの
学校や家庭の悩みに共感しますが

(親の過干渉・離婚・親との価値観の違いや
さかあがりができないことまで多岐にわたる)

大人になるとお父さんやゆりこちゃん、
北原さんなどの仕事や職場の人間関係、
親戚づきあいなどの悩みに

(そうだよね……)としみじみします。

むしろ分かりすぎてぐっさりと刺さったり。

個人的に3巻、宝石デザイナーになる夢を追って
上京しているゲストキャラのモノローグ

毎日ただこうして 

自分勝手に 
夢を見続けていることの
いいわけを
さがしているだけなのかも
しれないのに

は特にきました、その当時の自分に。

(でも それでももしかしたら)の後で、
彼女のデザインしたブレスレットを包んだ
リボンを髪につけた知世ちゃんとすれ違うのが
救いになってました。

大人になると言えば、昔はお父さんに色々
口出してくる親戚のオバちゃんたちを
嫌な連中だと思ってたのですが

大人になってから読むと「新聞社の新人記者が
インタビュー相手の有名画家の若妻と恋に落ち

(離婚まで待ったので不倫ではないらしい)

若妻の方は娘を産んだ後、数年で死去し
現在は人気作家で一人で娘を育てている」

という設定のお父さんが危なっかしく思えて
干渉する気持ちもわかるようになりました。

(だからって突然見合い相手を連れて来るのはないわー)

マンションの部屋の内装とか知世ちゃんのファッション、
雑貨や街並みに憧れたものです。可愛いんだコレが。

個人的に好きなエピソードは

髪ピンクのバンド青年まさおちゃんが捨て犬を助け、
最終的に知世ちゃんの友達の幸子ちゃんの家で
飼うことになるお話とか

知世ちゃんのはとこ、強くんと出会った際のお話。
(女装させるのも含めて)

有名女優があることをきっかけにホテル暮らしを
はじめるお話も忘れ難いですね。

確か断捨離とかシンプルライフみたいな言葉が
出る前だったので、印象に残っています。

他のお話はいずれまた。

 

 

榛野なな恵『Papa Told Me』その1

Papa Told Me(87~)は小学4年生にして
鋭い感性と観察眼を持つ不思議な少女
的場知世(まとば ちせ)と、

彼女をシングルファーザーで育てている
イケメン作家のお父さんを中心とした
一話完結の優しい物語です。

ちなみに今も連載中。

知世ちゃんの眉の太さに80年代の
名残が……。

日常でのちょっとした悩みや不満を
知世ちゃんがうまく言葉にすることで
心が軽くなるお話が多いです。

知世ちゃんは賢いだけでなく、子供っぽさも
ちゃんとあるのが絶妙なバランス。

お父さんと約束してるんだもん
私たちはそれぞれ自立して
「自由で創造的な父子家庭」を
目指すのよ

なんて宣言しつつも

新任の体育教師に名前を呼ばれたくないと
先生を怒らせ、理由を聞かれた時に

「話すと魔法がとけちゃうからです」
答えます。

「それはとても重大なことだわ」
納得してくれた園長先生偉い……!!

お父さんだけが呼ぶ「ちせ」だけが
私の本当の名前なんだから

と、モノローグで語っていますが、これだけでも
彼女がファザコンなのはよく伝わると思います。

この当時、母親のいない家庭(死別)への
風当たりは今よりはるかに強く

「可哀想でしょ」「恥ずかしい思いをするのはこの子なのよ」と

親戚から(善意でも)何かと責められるお父さんを
護るため、知世ちゃんはしっかりした子になったのです。

主要キャラは知世ちゃんとお父さんに加えて

お父さんの妹「ゆりこちゃん」
お父さんの担当編集「北原さん」や

知世ちゃんの友達など
周囲の人との関わりがメインですが

彼女たちや一回限りのゲストキャラが
話の中心に来て、知世ちゃんが通り過ぎる
だけという時も。

(男性キャラメイン回も時にはあります)

たまに現実の隙間にファンタジー
顔をのぞかせたりもします。

知世ちゃんが不思議なものを
見たり会話したりとか。

「アリス・カフェ」の双子姉妹なんかは
謎方面の存在ですね。

一話完結ですので、どこから読んでも大丈夫!
ふんわり優しい世界に癒されてください。

 

 

柴田ヨクサル『エアマスター』その2

前述しましたが、『エアマスター』の
キャラは濃厚すぎるキャラばかり。

しかし非常識な言動も多いのに愛すべきキャラ
なのは、子供に優しい一面もあるからでしょう。

序盤から登場するストリートファイター狩りの
月雄も、強烈さでは作品屈指の崎山香織も
小柄な蓮華を常に気にかけていますし、

深道弟も、マキの妹・みおりとは縁もゆかりも
ないのに護ってくれています。

個人的に崎山香織がお気に入りです。

何度も現れ、マキに戦いを挑んでは軽くあしらわれる
自称「未来のスーパーモデル」

「今までで人生悔いたことは一度もないわ!」
と自信過剰な高飛車なキャラながら
常にかませな印象でしたが

実は過去、陰惨ないじめに遭っていたことが判明します。

決して屈せず、自分の思うまま胸を張って生きている
崎山香織はやはり素晴らしい。

そしてその執念でマキを振り向かせた辺り、
もう大好き!!!

キャラの強さで言うと、やはり長戸も忘れ難い。

北海道の「黒正義誠意連合」に所属する一員で、
その長身と長い手足を活かした「長拳使い」

何よりも彼の異様さを際立たせているのは
「黒正義誠意連合」トップ、北枝金次郎に本気で
惚れているその執着心。

金次郎を賞金バトルの「深道ランキング」に
誘いに来た深道の「キミがほしい」を誤解し

深道にケンカ売って返り討ちにあった際、
「キスしてくれたら痛みが消える」と
キスをねだります。

そこだけ抜き出したらBL作品にありそうなシチュですが
長戸はピアスしたヒゲの(見た目)ごっついおっさんで
しかも声は郷里大輔さん。

真面目な金次郎がためらいつつも応じて気絶した辺りの
やり取りは忘れられそうにない……。
深道まで呆然としてるし。

金次郎は金次郎で、改造されて「シズナマン」に
なったり、

実は深道は人気アイドルが表の顔だったりと

これだけフリーダムなキャラが大暴れする
エアマスターはやはり最高だ!!と思います。

アニメ版は途中で終わったのは残念でしたが、
キャラの声はみんなハマってたし
OP『烈の瞬』は名曲です。

エアマスターVol.5 [DVD]

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柴田ヨクサル『エアマスター』その1

エアマスター(96~)は元体操選手で
空中を華麗に舞う最強女子高生・
相川摩季(あいかわ まき)を主人公に、
個性豊かなキャラクターたちが
ストリートで戦う格闘モノです。

03年にはアニメ化されました。

(以下、原作通り「マキ」と表記します)

柴田ヨクサル作品のキャラたちは
強迫観念じみた信念や思想の
ままに行動する、強烈な連中揃い。

言葉を選ばずに言うと、
「どいつもこいつも頭がおかしい」

マキは身長が伸びすぎたために着地を
失敗するようになったこと
コーチだった母親の病死もあって体操を
やめたものの

「視界が狭まるようなギリギリの緊張感」を求め
ストリートファイトの世界に飛び込みます。

ちなみにマキの強さは父親でプロの格闘家・
佐伯四郎譲りです。

女好きを除けば比較的マトモなキャラですが
ジュリエッタとの決闘を前に特訓してくれと
マキがジムに来た際、

その強さに驚きつつも
「オレもいろんな技出していいか
かなりマジって事で」

と目つきが変わり、容赦なく攻撃してきます。
戦闘狂的なところも、父親似なんでしょうね。

しかしこの作品で最も印象的なキャラは
やはり坂本ジュリエッタでしょう。
(本名は謎のまま)

沢田研二好きの長身のイケメンにして
圧倒的な強さとタフさを誇り

マキのことを理想の女性「ジェニー」に
重ねて熱烈に求愛します。

あまりに力が強いため大事な相手を傷つけて
しまいますが、マキなら大丈夫と確信します。

その時のセリフ回しがまた独特で
(これも柴田ヨクサル作品の特徴)

(だけど……嫌な記憶ほど
結び目がしっかりした)

「鯉のぼりのようにハタハタとついてくる」

「でも……マキは俺を蹴っ飛ばす事ができるんだ」

※( )と「 」の使い方は間違ってません。

マキにはさっぱり通じてませんでしたが、
ジュリエッタはものすごく嬉しそうな顔をしています。

堀内賢雄さんの声もハマりまくってましたね。

その後もアプローチを続けるジュリエッタですが
念願叶って結婚できてよかったね……。

次回に続きます。

 

エアマスターVol.2 [DVD]

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『蒼き流星SPTレイズナー』その1

蒼き流星SPTレイズナー(85~)は人類が
火星に進出している1996年、惑星グラドスが
地球人に対し脅威を覚え、侵攻しようとするのを

グラドスと地球人の間に生まれた少年
エイジ・アスカが阻止しようとし、

巻き込まれた地球人の少年少女たちと共に
グラドスに立ち向かうロボットアニメです。

「SPT」がこの作品におけるグラドスのメカです。

第一話で火星の国連基地が襲撃され、エイジが危機を
伝えに来るのですが、地球人たちは信じません。

当時はソ連アメリカが対立する冷戦時代のため、
目の前の状況を、遂に第三次世界大戦が始まったと
思い込んでいたからです。

異星人の仕業と納得するほかなくなっても
生まれ故郷を捨てて助けに来てくれた
エイジに対して、冷たい仕打ちをします。

今時のアニメなら、もっと早くエイジは
受け入れられていることでしょうが

この頃は話数が長いため展開はゆっくりで
エイジはなかなか報われません。

ヒロインのアンナは誰よりも早く彼を信じましたが
内気な彼女は面と向かって主張できず、

目の前で親友をなくしたデビッドは特に
攻撃的で、エイジを疫病神よばわりしたり
何度も殴ったりと本当にひどい。

だからこそ、デビッドとロアンがエイジを
助けた9話、

初めて「エイジ」と名前を呼ぶようになった
10話にしみじみと涙ぐみます。

 

エイジの最初の追っ手、ゲイルはエイジの姉、
ジュリアの婚約者でした。

そのためゲイルはエイジを傷つけられず
早々に更迭されてしまい、

次に指揮官になったのが姉ジュリアに横恋慕する
残虐非道なゲス野郎・ゴステロです。

「たまらないな人殺しというのは」(CV:広瀬正志)な
キャラだけに出てくると危機感がすごい。

それだけ盛り上げてくれるキャラとも言えます。

当時「マイアニメ」の付録についてたレイズナー
小冊子の中に、ゴステロの生い立ちを描いた小説が
載っていたくらい、ある意味人気でした。

まだ序盤しか語れませんでしたが
続きはまた、近いうちに。

 

大和和紀『イシュタルの娘ー小野於通伝ー』その2

『イシュタルの娘』物語の最大の核は、
於通と近衛信伊(このえ のぶただ)の
恋物語です。

※信基→信輔→信伊と名前が変わります。

少年時代を織田信長の元で、
その小姓たちと共に過ごしたため

意外とケンカも剣の腕も達者で、
後に当時流行のかぶき者になったりと
公家の若君とは思えぬ設定のお方。

しかし書道家としては於通同様、
今なお有名な書を残す文化人でも
あります。

秀吉に関白の座を奪われてしまい、
「だったら武士になってやる」とばかりに
朝鮮出兵に参加しようとたため
怒られて薩摩に流刑にされます。

(ここまで全部史実)

於通とは身分違いの恋で、一度は諦めたものの
真田兄弟の応援もあり、信伊の流刑を
きっかけに結ばれます。

娘の於図(おつう)も生まれ
信伊と幸せな日々を過ごす……
には時代が許しませんでした。

秀吉の暴君化や死をきっかけに、
血なまぐさい事件や戦が次々に起こります。

千利休豊臣秀次、秀吉、細川ガラシャ
石田三成、大谷刑部、淀の方、真田幸村
その命を散らし、

関白として朝廷と幕府の間で苦悩した信伊も
早すぎる死を迎え

もう少し後には高台院(於ね)、
お江与の方、出雲の阿国も亡くなります。

16巻のラストで、於通が絵を描きながら
亡くなった人々に思いをはせるのですが

幸村「おれは……おれらしく生きた……!」
淀の方「わたしは自分が思うままに生きた……!」

たった一コマであっても、それだけで
彼ら、彼女たちのエピソードが鮮やかに
脳裏に蘇り涙がこみ上げます。

それだけ於通の味方だった人も、敵対した人も、
皆それぞれに信念や美学を貫いた
見事な生き様が描かれていたということです。

序盤から父を失った少女として登場し、
於通に憧れ、後に対立することになった
おふく(=春日局)も
裏主人公のような立ち位置でした。

最後にぬばたまの正体が明かされますが、
あれには驚きました(ここでは言いません)

もっと評価されてもいい、
隠れた名作だと思います。

イシュタルの娘~小野於通伝~(16) (BE LOVE KC)

イシュタルの娘~小野於通伝~(16) (BE LOVE KC)